新しい一年をくれ | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

アメーバブログにて超短編小説を発表しています。
「目次(超短編)」から全作品を読んでいただけます。
短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 「新しい一年を体験したい。更新してくれ」

 「金はあるのかい?」

 「ある。ここに用意している。メニューを見せてくれ」

 「自分で選ぶのかい?」

 「後悔はしたくないからな。実を言うと今の一年は最初から気に入らなかったんだ。直に慣れるかと思ったが、とんでもない。苦しくなる一方だ。ちなみに、この店が推薦した商品だぜ」

 「文句を言いたいわけか?でも、値引きとかには応じねえよ。それに、自分で選ぶなら追加料金が発生するぜ。そこの料金表にも書かれているだろう?金は足りるかい?」

 「大丈夫だ。苦しんだが、実入りは良かったんだよ。早くメニューを見せろ」

 「いいとも。これだよ。俺の助言を聞きたいかい?これは無料サービスだが」

 「いらない。それは前回も前々回も聞いたからな。それとも口上の内容が変化したのか?」

 「いや。ずっと昔から変化してない。じゃあ、まあ、簡単に一言だけ言わせてもらうよ。しっかりと慎重に選びなよ。失敗をしても当店は責任を持たないから」

 「ああ。わかってる」


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