「新しい一年を体験したい。更新してくれ」
「金はあるのかい?」
「ある。ここに用意している。メニューを見せてくれ」
「自分で選ぶのかい?」
「後悔はしたくないからな。実を言うと今の一年は最初から気に入らなかったんだ。直に慣れるかと思ったが、とんでもない。苦しくなる一方だ。ちなみに、この店が推薦した商品だぜ」
「文句を言いたいわけか?でも、値引きとかには応じねえよ。それに、自分で選ぶなら追加料金が発生するぜ。そこの料金表にも書かれているだろう?金は足りるかい?」
「大丈夫だ。苦しんだが、実入りは良かったんだよ。早くメニューを見せろ」
「いいとも。これだよ。俺の助言を聞きたいかい?これは無料サービスだが」
「いらない。それは前回も前々回も聞いたからな。それとも口上の内容が変化したのか?」
「いや。ずっと昔から変化してない。じゃあ、まあ、簡単に一言だけ言わせてもらうよ。しっかりと慎重に選びなよ。失敗をしても当店は責任を持たないから」
「ああ。わかってる」
目次(超短編小説)