「昨日、レストランで珍しい料理を食べましてね」
「珍しい料理ですか」
「ええ。自分の肝臓のソテーという料理を食べたのですよ」
「あなたの肝臓を体内から取り出して焼いたのですか?」
「そんな真似をしたら私は既に生きていませんよ。数年前に人工肉の生成技術が開発されたでしょう?その機能を搭載した機械がレストランを訪れた客の身体を測定し、そこから得られた情報によって肉や内臓を短時間で正確に作り出せるまでに進化したのですよ。つまり、客は自分自身を味わうという体験をできるわけです」
「さすがに他人の肉や内臓は食べられないのでしょうね」
「当人の許可があれば食べられると思いますよ。実際、世の中には自分の肉を食用として販売する人々も登場しているそうですからね。病的な自己顕示欲だと思いますけどね」
「自分の肝臓を食べるという行為もそこそこ病的な自己愛ではないですかね?」
