山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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アメーバブログにて超短編小説を発表しています。
「目次(超短編)」から全作品を読んでいただけます。
短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

自作の超短編小説を公開しております。
目次です。※作品数が増えてきたので十作ずつに分けました。
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目次(超短編小説)

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 夢の中で私は猫の仮面を被った男と対峙していた。猫仮面の男は私よりも体格が大きかったが、子供のような甲高い声で話し掛けてきた。「これは僕が作った笛だよ。どうぞ吹いてみてよ」


  いつの間にか私は片手に長い棒を持っていた。棒には幾つかの穴が開いていた。どうやらこれが笛であるらしいと私は察したが、どの穴に息を吹き込むべきなのか皆目見当が着かなかった。それに、なんだか不潔そうだと感じたので唇を付けたくなかった。 


  「僕が吹くから聴いていてよ」と猫仮面の男は言った。


  男は笛を吹き始めた。私が持っている棒よりもずっと短かい笛だった。穴は一つだけしかなかった。その穴に息を吹き込む度に自動車のクラクションのような音が鳴った。猫が制作した笛なのだから猫の鳴き声に似ているだろうと勝手に予想していたので私は実際に聞こえてきた音色に落胆した。耳にしていたくないと思っていたら夢から醒めた。家の外で自動車がクラクションを鳴らしていた。