幼い時に金持ちの父がいなくなり、家庭環境が複雑な中、

お金がないながらもサッカーにはまった少年KEI。

 

サッカー部では、

先輩学年チームVS後輩学年チームで試合をする文化があり、

先輩チームが経験から勝つことがほとんど。

KEIはサッカー部の後輩チームに所属し

同級生と切磋琢磨して練習し、先輩チームを打ち破った。

 

やがて、同級生同士で強いチームになりつつあったが、

それを見て嫉妬心を抱き、面白くないと感じていた、

サッカー部の先輩達がいた。

 

サッカー部の友人が複数の先輩たちから暴行され、

鼓膜がやぶれるまで至った。

「ただサッカーを頑張っていただけなのに」

それが許せなかった。先輩たち全員に暴力で仕返しをする。

 

これをきっかけに悪の道へ。

地元では名前がしれてきており、

さらに、ヤクザ事務所へ丁稚奉公する。

 

商才のあったKEIは、

親分から1500万円を出資してもらい、

当時では珍しい、外車の輸入販売をおこなった。

ビジネスは軌道にのるが、

他のヤクザの食い物にされ、別のビジネスをすることに。

 

商才があったので、色々と事業をおこなった。

シンナーの販売など、違法な事業もおこなった。

新しい世界に飛び込む事がすきなKEIは、

麻薬の海外の販売まで行うことになった。

麻薬は仕入れ1000円程度だが、サイパンで販売すると10万以上の価値へ。

当日はバブルで、観光客としてきた日本人が大金を現地で使っており、

潤っていた現地のサンパン人が10万以上で麻薬を購入するという流れになっていたようだ。

 

サイパンでFBIのおとり捜査にあい、

違和感を感じながらも麻薬取引の現場をおさえられ、

現行犯逮捕となる。実刑判決は10年。

 

アメリカの刑務所に収監されることになる。

アメリカの刑務所のレベルは1-5段階あり、

5が最も凶悪で無期懲役になっている囚人がごろごろいる。

最初はレベル4の刑務所から入るものの、

素行が悪いKEIは、レベル5の刑務所へ移されることになる。

 

刑務所内での殺人は日常茶飯事で、

看守はお金で買収され見て見ぬふりをする場合もある。

女性看守は、囚人との性的な目的で働いている人も多く、

無法地帯の中で生きていく必要があった。

 

なめられたら、ずっとパシリ扱いになるし、

権力者にオカマを掘られ続ける関係になる。

そんな生活が嫌だったら、

舐められないように、

なにかしたら面倒臭いやつと思われなければならない。

その行動は、生死と隣り合わせである。

 

日本人1人だけ。孤立して囚人生活を過ごしていたKEIだが、

チカーノのボス的な人の席に座ってしまう。

その場にボスが来て、席を譲るように言われるが、

怖気づくのも終わりのはじまりだと考えたため、

死ぬ覚悟で、日本人1人で味方がいない中過ごしている。

ここで舐められる理由にはいかないと反抗した。

 

その態度が気に入られ、

チカーノの一員として認められることに。

ボスの言う事は絶対。

快くおもっていないものもいたが、

KEIは、チカーノのファミリーとなった。

 

そこで学ぶ、仲間意識の大切さ。

チカーノは、お金ではなく仲間意識で損得なく行動する場面も多い。

仲間が傷つけられたら、決死の覚悟で傷つけた相手に復讐する。

KEIがナイフで顔を切られた時は、

チカーノの仲間が切った奴をその場で殺し、

刑務所内で乱闘騒ぎになり、8名が死ぬことに。

それも団体で仲間を想うからこそ。

なぜなら、チカーノは生まれた瞬間から、

その生き方しか許されない人ばかりだったから。

日本のように選んでいきたいくことはできない環境。

 

そうやって刑務所で過ごして出所の時となった。

最初10年で入った刑務所だが、

出ていくまでに12年に伸びていた。

 

昔の極道は人のためにというものがあったが、

バブル後はお金優先となっており、

KEIはその世界に戻ろうとは思っていなかった。

チカーノとのつながりや経験を活かそうと思った。

 

とてもノンフィクションとは思えない。

映画よりも映画、小説より小説らしい実話を読んで、

日々生きていることを大切にしようと感じさせてくれる本でした。