本屋大賞を受賞した作品は間違いないだろうということで、
瀬尾まいこさんの作品を手にとって読んでみました。
17年の中で7回も親の形態が変わっている、
主人公の優子をとりまく環境は、
波乱万丈なのだが本を読んでいるこちらからは波乱万丈さは伝わってこないもので、
とてもあたたかく、愛に溢れた作品でした。
「そして、バトンは渡された」
そのタイトルに想像するバトンは自分が想像するものとは異なり、
まさか主人公自体がバトンのように、
色々な親のもとをうつっていき、
その親がもっている種類の異なる愛情をもらって生きていくストーリーでした。
最も印象に残っているのが、
他の教師たちが、
親が変わってもあなたはあなた、
無理しなくても良いんだよ。
と伝えてくる中、
高校教師の向井先生の一言は、
「あなたみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない」
この一言がこの本をまるっと表している一言だなと思いました。
どの親からも強い愛情をもって接してもらっていて、
さらに、どの親からも愛される主人公の優子。
強くて、そしてまっすぐでピアノ好き。
そんな優子の日常を描いた400Pを超える物語です。
やっぱり自分は、最後の父である森宮さんとの噛み合っていないやりとりが好き。
東大出身だけども、どこか変わってる人。
オムライスへケチャップでメッセージ書くとしても、
「絶対合格」など数文字程度ですが、
試験の前日に作ったオムライスにはダイイングメッセージのように、
長々とメッセージが書かれていました。
「つまようじを駆使して描いたから、三十分はかかったよ」
という森宮さんの一言がとても好きです。
血がつながっていない中、
良い父であろうとする森宮さんの愛の結晶と、
天然さがとても好きでした。
またほっこりしたいな〜と思った時に読みたいと思います。