2015年、いまから9年前に、お笑いコンビ「ピース」の又吉さんが芥川賞を受賞されました。

その当時から読みたいとずっと思っていましたが、ようやく読むことができました。

 

時間が経過してしまった理由は、私が小説自体を読み慣れておらず、

読むのに時間がかかるのが面倒で、避けていました。

本当は面白いのに、映像や映画での時間浪費を優先していたのかもしれません。

 

小説を読もうと思ったきっかけは、

自分が散歩を旅先で感じている事を言葉にしようと思った時に、

脳裏に言葉が浮かんでこないことが多くなったので、

解決策として小説を読もうと思い至りました。

 

火花は、

二人とも、違うコンビを組んでいる中ではありますが、

お笑いが好きで、お笑いに夢中で、純粋にお笑いに向き合っている二人のストーリーでした。

 

真剣にお笑いに向き合いつつも自分の才能を疑っている徳永と、

強烈にインパクトを残し、自分の芯をもつも世間になかなか受け入れられない、徳永の先輩の神谷。

 

徳永は、中学時代の友人の山下とスパークスというコンビにを組んでおり、

神谷は、かつで地元で不良として恐れられていたが情に厚い、大林とコンビにを組んでいます。


そんな二人が、花火の音や光に夢中で、

誰も聞いていない花火大会の舞台で出会ってからの物語です。

 

小説内での会話ややり取りがいくつもでてくるのですが、

クスクスっと普通に笑ってしまうものがたくさんありました。

ドラマのように誰かが死ぬとか、誰かが優勝するとか、

そんな心を上下に大きく揺さぶるような場面は少なく、

どちらかというと、夢に向かっている日常を描いている小説です。

 

少し小説を読むのを躊躇してきた要因として、

回りくどいとか、話が暗くなるとか、

そういった要素が本を手に持つことを避ける要素の1つになっていましたが、

 

火花はそんな事は全くなく、最初から最後までスッキリと読めました。

本業としての小説家が書いているような綺麗な文章や知識からくる言い回しと、

本業としてお笑いをやっているからこそ、緻密に構成されたリアルな笑いを届けてくれるので、

これは、又吉さんしかかけない唯一の小説だなと。違う作品も読みたくなりました。

 

中でもお気に入りなのは、

吉祥寺で飲んでいて、神谷さんが俺んちに来いと言っていく場面です。

歩いて帰るのですが、歩いてたどり着いた先が吉祥寺ではなく、

上石神井駅で、ただただ通り距離をゴールを告げられずに歩いて帰る場面です。

歩くと50分くらいかかるんですよね。

時間があってお金がないからこそできる青春だなと感じました。

 

私も昔、新卒の時に、友人とよく二人で仕事終わりに帰宅していました。

私は、池袋駅から二駅となりの千川に住んでいて、

彼は、中野に住んでいました。よく彼の家まで自転車でいって送ってから、

自宅に帰ることをしていたんですが、自転車でも往復40分程度でした。

 

若いからこそ時間を使えるし、

一見無駄とも思えるけど、よくよく考えると最高に楽しい時間を過ごせたな〜と。

そんな昔を思い出させてくれる1作品でした。とってもよかったな。