菊芋

 ワラビが我が家の家庭菜園、華北の地に根を下ろす数年前の夏、洞川林道を歩いていた私は道の脇に菊芋が咲いているのを見つけました。その年の秋、彼は花を着けました。冬になりその穂先を家に持ち帰った私はその穂先をばらし、ベランダの鉢に植えました。翌年の春、そこに三本の菊芋の芽が出ました。10センチ余りに成長した頃、私はそれを大き目のプランターに植え替えました。三年後に彼はプランターいっぱいに広がりました。彼は自らを古(いにしえ)の孫氏の子孫と称し孫堅と名乗りました。その翌年、私は彼の息子達を家庭菜園の一角華南の地に植えました。奇しくもそれはワラビが華北に根を下ろした翌年のことでした。彼の息子は勢力を拡大し華南の一角、江東を支配するようになり江東の小覇王、孫策と呼ばれるようになりました。孫策の跡を継いだ弟の孫権は華南全土の掌握を目指し西進を開始しましたが、その進撃は夷陵蛮(雑草)に阻まれ孫権の支配地域は華南の3分の2に留まりました。その翌年ワラビが魏王、曹操を僭称したのに倣(なら)い孫権は自らを呉王と称するようになりました。

㊟この物語は私の妄想であり中国とは関係ありません。