2022年03月07日 | 封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)
CP封印惑星・封印された新地球で、情報収集端子である一角獣・新機類は、天空の光矢を見る。 それは新地球の解放者、世界樹の出現する予兆であった
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封印惑星)第8回●侵入者アーヘブンは「天宮」端子のゴーストトレインの腹腔を突き破る。次に情報端子ユニコーンも爆破。北の詩人から手がかりが。総ては「天宮」の創作「情報ユニット」である。
封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回●
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所
●ユニコーンは、ゴーストトレインに向かって大声でどなった。
「ゴーストトレイン、腹の中にいる生物が、今、動いたそ」
それを聞いて、ゴーストトレインは,少しばかり、腹の中にいる生物を消化して動かなくしてしまおうと考えた。
生物の意識部分だけでも、残しておけば、調査には充分だろう。
ゴーストトレインの腹腔内に、分解液を分泌し始める。
分解液は今までに新機類ユニコーンを多く解体していた。
やがてゴーストトレインの腹腔内は分解液で充満し、アーヘブンの体は、液中に沈んだ。
●「何だ、この液体は?」
アー・ヘプンの触手の一部が解けていた。
アー・ヘプンはこの液から逃がれようと、再び、触手を全開する。
が、腹腔はアー・ヘプンの触手にあわせ、やわらかく包み込むように自在に拡張した。
いくら試みても、柔らかなゴーストトレインの腹腔をつき破る事はできない。
アー・ヘブンは今度は、自分の体に蓄積している体内エネルギーを放つ。
光合成によって蓄積されたエネルギーだ。
アー・ヘブンの全身は赤色に輝き、次第に熱をおび始める。
●ゴーストトレインの腹腔が、今度は、アー・ヘブンの発した熱で溶ける。
穴は徐々院ひろがり、充分々大きさになったのを見はからって、
アー・ヘブンはゴーストトレインの腹腔の外へころがり堕ちた。
それでもゴーストトレインは惰性で走り続け、張力が効かなくなった腹腔は
溶けた穴のために前後二つに裂けた。
上半身は、大球と小球を結ぶ「コード」軌道内部で、つっぷし、下半身は後にとりのこされたが、あたり一面に消化液が、「コード」軌道内部にぶちまけられた。
●アー・ヘブンはゆっくりと立ちあがり、横たわるゴーストトレインに近づく。
ゴーストトレインはかま首を突然持ち上げた。悲しそうな顔だった。
『この動く″木″は一体何だったのだろう』
それがゴーストトレインの最後の意識であった。
動く″木″である、アー・ヘプンは、ゴーストトレインの半透明の体が、コード内部の空気中に、消えていくのをながめている。
■ユニットコードナンバー 836250
ユニットタイトル 幽霊列車
実体化された、情報ユニット「ゴーストトレイン」は消滅した。
大球と小球を結ぶコード軌道通路上には、二つの光るラインがずっと続いていた。
急に、後からアー・ヘブンの体に衝撃があった。
アー・ヘブンはゆっくりと振り向く。
そいつは、ユニコーンだった。
ユニコーンの角が、アー・ヘプンの体を見事に突き抜けていた。
ユニコーンは自分のペアとゴーストトレインの敵討ちをしようとしたのだ。
「くそっ、僕の彼女とゴーストトレインをかえせ」
ユニコーンはそう叫んでいた。
『無益な事をするな』
アー・ヘブンは悲しくなった。
アー・ヘブンのエネルギーが、ユニコーンの角に収斂する。
ユニコーンの両眼がまっ赤になる。ユニコーンの体はきしり、爆発した。
コード軌道ー面に、今度はユニコーンの肉片が散らばった。
角は、アー・ヘブンの体に突きささったままだった。
ゆっくりとアー・ヘブンの内部細胞は、ユニコーンの角を、体外へと押し出した。
角はコード上にころがりがち、ゆっくりと静止する。
角はユニコーンが存在したことの唯一の証拠に見える。
■ユニットコードナンバー 386574
ユニットタイドル ユニコーンの旅
情報ユニット消滅。
しばらくして、アー・ヘブンは、すぐ側に北の詩人が忍びよってきたことに気づく。
「北の詩人よ、教えてくれ、天宮はどこにある」
アー・ヘブンは、この生物の名が自分が「北の詩人」という事をなぜか知っている。
北の詩人は、少しづつ消滅しつつあるユニコーンの肉片の側にうずくまり、涙を流していた。
「ユニコーンよ、とうとう、君までいなくなってしまった。僕はひとりぼっちじゃないか」
北の詩人はアー・ヘブンに問いただす。
「アー・ヘブン。なぜ、ユニコーンや、ゴーストトレインを殺したのた。私の数少ない友人達を」
北の詩人の言葉には、アー・ヘブンヘの激しい怒りが含まれている。
「許してくれ、北の詩人よ。私にとっても以外なのだよ。殺戮とか抹殺とかいう狂暴なイメージをふりまく事すら、昔の私には耐えられきい事だった。
が、私はやってしまった。いかなる事があろうと私は「天宮」の元に辿りつかなければ左らないのだ。それが私の使命なのだ」
アー・ヘブンは、悲しげに北の詩人の眼をのそき込んだ。
「それに君達は、この世界には存在しないはずの生き物なのだ。ただの天宮の「情報ユニット」なのだ。それが実体化させられたものだ。生物ではない」
「存在しないはずの生物だって?」
アー・ヘブンを見ていて、北の詩人は想いおこす事があった。
北の詩人は思わず、アー・ヘブンの体に両手をのばし、その表面をなてていた。
アー・ヘブンは、北の詩人の心に悪意のない事を知り、なすがままにした。
「ああ」
急に、北の詩人はうめき声をあげ、ひざをおとした。
北の詩人の眼からは、新たなる涙がこぼれ落ちていた。
「わが家よ、暖かき住み家よ、、」
北の詩人の口からは、そんなフレーズが湧き出ている。
「住み家だと? どういう意味だ」
「わからない。ても、僕のイメージ脳が、そう告げている」
涙をたたえた目で、北の詩人は言う。
「さあ、思い出してくれたまえ。こう質問を変えてみてもいい。北の詩人、君は「大球」のなか、一体、どこで生まれたのだね」
「どこで生まれたかって? 大球だって、、、そういえば、、」
北の詩人は、アー・ヘブンの体から手を放し、遠い所に視線を移して、昔の事を想い出し始めていた。
「そう、大地の中だ」
「地中はわかっている」
「闇の中、いや光があった。そうだ。空洞があり、私の仲間たちがそこにたくさん居た」
「仲間がたくさん居ただと?」
「そう。まだ、実体化していない多くの仲間だ」
「いったい、君やゴーストトレインは何者なのか、君はわかったか」
「僕達は、、僕達は、そう、「情報ユニット」が実体化されたものだ」
北の詩人は、そこまで言うと、突如、その場に倒れた。
自分白身の記憶の復活があまりに強烈だったのだ。これは事実だったのたろうか。
イメージ脳がくるったのか。そう、北の詩人は考えていた。
北の詩人脳裏に浮かぶ。
かつてアー・ヘブンに似たモノ、動く″木″、に記号を印した事を思い出した。
すっと昔の事だ。
『かしのきに、ナイフでしるしを……』
(続く)
●封印惑星(ハーモナイザーシリーズ02)第8回●(1987年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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