ドリーマー・夢結社(1987年)●夢王たちの饗宴パート2●クネコバ・スプローギンは世界を夢世界の集合体とした。
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ドリーマー・夢結社第5回■Kは、東京湾を渡り、夢の島の夢工場に侵入する。
ドリーマー・夢結社第5回
(1987年)星群発表作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
■夢の島にある夢工場から出荷されているドリームドールは政府の事莱だった。
もちろん何段階かのトンネル会社を通じてだ。
この事業は現実世界の恐ろしさから子供たちを守り、想像性豊かな子供を育てようという目的だった
のだ。
ところがまるで反対のベクトルへとドリームドールの存在は働いたのだ。恐るべき社会の破壊者と
しての存在へ……。
ドリーム・チャイルド、ドリームマスター、そしてドリーマー、
これらは社会問題として大きくとりあげられた。日本社会を破壊するものとして。
政府はやむなく「ドリームハンター」という組織を作り、ありえざる人間、個人の夢から現実に生まれた
人間、ドリーマーを見つけ次第、処分することにした。
ドリーム・マスター達は、これをいち早く察知し、太虚してどこかへ隠れ去った。
彼らの居場所は皆目わからなかった。
■Kはウィンドサーフィンから降りた。磨の水をかきわけながら、肘へあがった。
砂浜には鉄条網がはられている。『立入禁止、危険高圧電流』と書かれた立札が並んでいた。
少し砂の上に横になる。
なぜこの島に来たのか。勢いというものかも知れない。が、ここへ引き寄せられる何かがあったこと
は事実だ。
砂浜を犬が走ってくる。黒く鍛えられた筋肉のかたまりのような犬だ。警備犬ドーベルマソだ。
Kは立ち上がる。
そいつらの眼は尋常ではない。まがまがしく光っている。まるで作りものの眼だ。
Kは犬たちをにらむ。その犬達は叫び声をあげると、砂地に倒れた。何気なくKは鉄条網に手をかけ
た。体が光を帯びたが、Kには衝撃はなかった。
Kの体は特別製なのだろうか。
Kは倒れている犬の一匹を調べてみる。
体は確かに生き物だが、思った通り、左眼がカメラになって
いる。監視カメラなのだ。尻尾がアンテナになっていた。
爆音がした。ヘリが飛来してきたのだ。Kの頭上でホバリングしている。
「そこで止まれ」
ヘリから声がした。
へりの男は半身を乗り出して64式突撃ライフルでKをねらっている。
さらにオフロードバギーが砂ぼこりをあげて走って来た。
Kの前で止まる。助手席の男がライフルを向けた。
この男達は軍服を着ていないが、それに近い組織らしい。
揃いのユニホームを着ている。米空軍のM25 A-Iタイプのモスグリーンジャケ″卜で作業スラ″クス、レギンス付きのワークブーツ、頭にはアポロキャップをかぶっている。キャップのマークは夢だ。
「よーし。手をあげたまま、車に乗れ」
Kは後ろの席に乗せられた。
「ここは何だ」 ・
Kは助手席の男に尋ねる。
が、男はライフルを向けたまま無言だ。先刻から見えていた奇妙な形の建
物の前で。(ギーは止まる。
その建物はまるで生き物のようになめらかな曲線で形。つくられていて。体温や息づかいすら感じられ
る。
「降、俺の前を歩くんだ」
男はライフルでKをうながす。玄関のドアから奥まで一直線に通路が続いている。内部は外観の印象
と異なって、機械的で冷たい感じがする。あたりに人の姿はない。
通路を進み、一つのドアの前で止まる。
「よし、この中へ入れ」
部屋の奥の机に、初老の男が一人すわっている。Kの後から男も付いて入り、ドアを閉める。
「私がこの工場長だ。さて侵入者くん。君の名前、君の目的を話してもらおう。誰から頼まれたかもな」
Kは質問に答えるかわりに、逆にその男に問うた。
「ここはどこなんだ」
「知らんのか、ここは夢工場だ」
ドリーマー・夢結社第5回
(1987年)星群発表作品
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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