ロボサムライ駆ける■第49回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

■第六章 古代都市(4)
 サイ魚法師が味方に付いたことで、戦いの流れが変わった。
「いかん、シュトルフ君、逃げなさい」
ロセンデールは命令していた。
「しかし、殿下、我々は、敵には後ろをみせません。
今まで、そんな負け戦さはしたことがありませんぞ」
 呻くシュトルフ。

「シュトルフ君、今がその最初の時なのです。私の考えがある」
 ロセンデールがいった
「くそっ、ロボットども覚えていろ」
 ののしるシュトルフ。
 聖騎士団は奥へ退く。

「へへん、ほえづらかくのはお前たちだよー」
 知恵は悪態をついた。

「心柱様、我々日本のロボット、外国勢からお守りもうした。どうぞ安心して下されい」

『有り難い。が、決して奴らに油断するな。それでは、私を中心とした、いにしえの都市をお前たちに見せてあげよう』

 心柱の表面が、一度ぐるぐると回りだし、さらには膨らんでいった。
しかし、その表面は物理的なものではなかった。

 半透明の膨張面は、背後から戦っていたロボットたちの体を突き抜け、心柱の中にロボットたちは、入っていた。

 一瞬、あたりすべてが白熱化し、何も見えなくなる。

 すべてのロボットの目がくらんだ。
「我々ロボットの眼がくらむなど……」

 彼らロボットの視覚が普通に回復すると。

 そこには、心柱のある島を中心に巨大な青々とした地底湖が広がり、六つの島がある。

その各の島の上には石造ピラミッドの神殿が現れている。ピラミッドは心柱を中心にきれいに六方向にあるのだ。

 心柱のそばには、超古代に造られたらしい石造りの神殿が出現していた。
古代ギリシャのオリンポスの神殿を思わせる。

 主水を始め反乱ロボットはそのそばにたっているのだ。

「これは……」
 絶句する主水。

 いかなるロボットの電子頭脳もこれは理解の範囲を超えている。

 心柱のある島の神殿に数十人の人影がある。
西日本都市連合の首長たちである。

 神殿の祭壇の中心に、落合レイモンが座っていた。

 思わず主水は走り寄る。

「レイモン様、ご無事でござりましたか」
「おお、主水か。無論じゃ、危機は去ったようじゃな。こちらへこられるがよい」
「この神殿は一体何でござるか」

「主水にわからないのも無理はない。
日本にも、古代には巨石文化がござった。
霊戦争以前のこのあたりの奈良地方の山、三輪山、天の香久山、耳成山、畝傍山、忌部山、磯城山、の地下すべてには、このような石造ピラミッドが超古代からあった。
また、サイ魚法師が出現された湖も、古代には存在しておった大和湖じゃ」 淡々と述べる落合である。

「レイモン様、このことをすべてご存じだったのですか」
「いや、すべてはわからなかった。が、この近畿新平野において、何者か古代の巨大な霊が復活し、私を呼んでいるのはわかっておったのじゃ」

「それをわかっていて、関西都市連合会議に参加なさったのですか」

「その通りじゃ、貴公には迷惑をかけたが、このような大いなる目的があった。許せ」
「いえ、何度も私を始め皆の危うい所を、お助けいただき、感謝の言葉もございません。しかし、ロセンデールのものどもは、レイモン様を…」

「ロセンデールは、私を下へもおかぬ丁重な扱いをしてくれおる。この心柱と化野のことを解決できるのは、落合レイモン様しかおられぬとか申しておったわ。はっはっは」

 ちょうど六つのピラミッドの頂上から光が出ていた。
この六つの山のエリア内に含まれる湖面が撥ねて変化している。

 光の野となる。

 光が感光したように、地上から浮かび上がっている。

十万の人口を養い得る町並が出現していた。
湖は三分の一の広さとなった。

「見よ、主水。超古代都市の復活じゃ」
「レイモン様、これは……」

「はるか昔、古代ユダヤの民の一支族が、この日本に住み着き、『ソロモンの宝』をもってこの地を豊饒の地にされた。やがて人々はその祖先を忘れ、享楽にふけるようになった。それゆえ、この古代の都市は、最後の霊道士によって封印されたのだ」

「ロセンデールが狙っていたのも」

「そうじゃ、この都市に眠る「神の棺」を、申請ゲルマン帝国、ロセンデールは狙っていたのじゃ」
 あまりのことに驚く主水たちであった。

「ところで主水、足毛布博士という方を存じぬか」

(続く)
■ロボサムライ駆ける■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/