遙かなる絆-ランナー第19回ー最終回(1986年作品)
地球防衛機構(EDO)シリーズ
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/

後に歴史家が白熱の1年という、人類変革の時期が始まった。

地球上で、「大いなる白熱」のあと、あるものは再生され目覚め、あるものは目覚めなかった。

形もなかった。

選ばれし者のみが行きのこった。

約半数以下が生き残り、新人類として変化をとげようとしていた。

その彼らが、夜に空を見上げ、月がないことを、その変化期の確認とした。

新人類は、過去人類の、あらゆる聖典でのべられていた天国という概念がどうやら、実現したと感じていた。

マコトという聖灯が、ヘルム・リッカートというランナーにより、届けられ、地球と月、二惑星融合が作り出され、本来の地球にもどったと理解した。

やがて、暫定統治機構が発足し、地球連邦軍、地球防衛機構は、その役割をおえた。とりあえずの均衡がもたらされ、

フィダィであった人々も、指導者マニの消滅を知り、新秩序の前で、選別により生き残った人々は、何かしらの霊感を得ていた。

生き残ったサイボーグ研究所の人々は、残務処理に追われている。

聖なる灯り、マコトは、外宇宙船「メビウス」の中にいた。

現時点まで、導師マニとオットーの体は、どこにも発見されていない。

地球前人類の争いのツール「世界の王のしるし」は、アムラーピラミッドにある。

ピラミッド自体が、地球上の移動されていた。

新世界となった今、旧世界の王は、意味をなさない。

意味なきがゆえ、また、それは旧世界の象徴としての役割を得ていおる。

サムナーの体は復活し、旧オセアニア海域で、水と戯れている。

「赤目のジャック、テロリストハンター、サムナーか」

彼はひとりごちた。彼の体は、正状態であり赤目のサイボーグアイではない。

サムナーの前には、復活したプランクトンシテイ群が、浮遊していた。

その浮遊都市群のように、サムナーの体も緩やかに波にもまれていた。

ヘルム・リッカートは、また、生身として、大いなる力により再生されていた。生身の体で、ロードを走っている。

ロ-ドランナー、伝説の男とはなったが、人々は気にとめない。

ちょうどその頃、新地球の上を飛ぶ、マコトの体のひとつが、涙を流していた。

やがて、ヘルム・リッカートは、ある家にたどり着く。ドアをノックする。

父と母が、生き残り再生されている。なかなか言葉はでず、父母を抱きしめていた。

「父さん、母さん、久しぶり。僕は生き残り、そして走りきった。、、、」
(完)
1986年作品ー2013年改稿
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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