ロボサムライ駆ける■第16回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」http://www.yamada-kikaku.com/


■第三章 霊能師(4)
 急ぎ逃げ帰るロボ忍者の一団の前に。
 黒い影が立っていた。

「お頭」一団の誰かが叫んでいた。
 逃げ来るロボ忍の前に一人の男が立ち塞がるように。怒っているのた。
 全員がおぞけを奮う。
 その男の前に立ち止まり、膝を屈する。
 やがて、その男がゆっきりと口を開く。

「お前たち、早乙女主水とかいう侍ロボットに負けて、しっぽを巻いて逃げてきよったか」 
怒りを含んだ声が、彼らの聴覚器に響く。

「お頭、申し訳ございません。あやつ思ったより、強く」
 先刻のリーダー格の男がしぶしぶしゃべった。かぶせるように、
「ええい、聞きとうない。主水など、たかが東京城の護衛ロボット。それに比して、我々はロボ忍、伝統ある特殊技能ロボットぞ。よいか、あやつ、今度会いし時、必ずや、血祭りにあげい」

 覆面で見えぬが頭と呼ばれた男の怒りは相当のものらしい。
「わかり申した」
 全員が口を揃える。
「それでじゃ、ロッカン」
 先頭の男に言う。
「はい、お頭」

「おまえは、負けた責任を取れい、死ねや」「おまちください、今一度の機会をあたえてください。今度は……」
「ええい、くだらぬ言い訳など聞きとうないわい」
 その男が光りに包まれる。
「ぐえーっ」
 ロッカンは倒れていた。
「よいか、みせしめじゃ」

「わ…わかりもうした」
 ロボ忍の体が、小刻みに震えている。
 残りの全員が恐れていた。声は小さいが、唱和していた。
「ところで、お頭はどちらへ」
 ようやく、一人が尋ねた。

「水野さまよりの密命じゃ。依頼されて東京城へな」
「東京城でございますか」
 奇異な感じがした。

「そうじゃ、まあ、見ておれ、わしの腕をな。お前たちは、落合レイモンの一行を見張りながら、西日本にかえれ」
 
ロボ忍者群は、花村とロッカンの死体を残して走り去った。
(頭もむごいのう)
 これが、彼らの思いであった。

続く090901改訂
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所 ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」