漬物の衛生基準が厳しくなって産直のお店から消えてきましたが、美味しい干物で有名な茨城県波崎でも親の代から伝わったつけ汁を保健所から非衛生的だから捨てなさいと強く指導されて、殆どの業者が捨てたそうだ。


ただ一軒、保健所に抵抗、断固として昔ながらの製法を守って、つけ汁も残し鯖の干物を作り続けている越田商店を訪ねることができた。




代表は越田英之さん。子ども2人と奥さん達との家族だけで営んでいる。


早速、守り抜いた秘伝の真っ黒なつけ汁を見せて頂いた。


もともとは塩水につけていただけだったが、鯖の身につけ汁の塩が入り浸透現象で鯖の身から水分がつけ汁に出る。


塩を足すだけで、何十年も経つうちにこのようになっていったと。


保健所から廃棄を強制されていた50年もののつけ汁です


魚臭いにおいも一切せず、指で舐めさせてもらったが、塩辛いもののなんとも言えないあまさが残った。


これが日本の発酵食文化のうまみ成分なのだろうか。


1度検査してもらったら48の酵母菌がいて、そのうち2種類は日本で初めて発見される酵母菌で雑菌はないので衛生上も全く問題はなく、ここまでなると貴重な物なので大切にしてくださいと言われたそうだ。


原料の鯖はノルウェーの脂ののった天然鯖を旬の時にまとめて輸入、冷凍の鯖を大きな作業台の上で自然解凍している。


親子が早朝から包丁を手にすごい速さで捌くそうで、残るのは中骨だけだそうだ。


その中骨も肥料にするので食品ロスはゼロだとのこと。


包丁で見事に髄の部分までそぎ落とされて中骨だけ残りました。



工場内には普通見かけるような機械類は一切置いていない。


包丁の持ち手部分にはサラシが何重に巻かれていて、1年で包丁もまな板も擦りきれて替えなければならなくなるそうだ。


晒を巻いた包丁も1年で一番右端のように使えなくなります。

まな板も杉だそうですがえぐれて使えなくなります。


毎日包丁を砥石で研ぐので、1年間で砥石が1センチほどの厚さになってしまいます


夜、早速晩酌のおともに大根おろしを擦って頂いたが、実に美味しかった。



脂がのって美味しかった