今回の福祉健康委員会では、新宿区が昨年度実施した「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のモデル事業についての報告がされました。


この事業には、個人的に大変注目していました。


定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は介護保険の中に位置づけられ、4月から始められます。


利用者にとってのメリットはだいたい下記の通りです。


・毎月定額である
・24時間の介護サービスを自宅で受けられる
・何時でも事業所に連絡(コール)すれば対応してくれる
・無制限・使い放題である


本当にこんなことできるの!?って感じですよね。


理念としては、まさに介護保険における"究極"の在宅サービスです。


しかし、実際に4月から実施する自治体は1割強と厳しい状況です。


課題は下記の通りだと考えています。


・ある程度の人口密度が必要である
・当然、事業採算性に疑問がある
・認知症・独居利用者への対応が難しい場合がある

・介護保険対象外の雑用を頼まれる

・コールが重複した際、致命的な待ち時間が発生する
・ケアマネの制度への理解が足りない
・他の訪問系サービスとの併用がしづらい


こういった課題を解決するために、利用者の選別が行われては本末転倒です。


増え続ける特養の待機者に対応するために考案されたサービスという側面もあるので。


まだまだ課題の多いサービスですが、新宿区では整備を進めていくとしています。


東京23区では、新宿区以外にも港・世田谷・品川・杉並・豊島の5区が事業を開始しました。


私は、新宿区こそ他の自治体に先駆けて積極的に推進するべきだと考えていますし、逆に新宿区でも無理ならどこでも無理だと思っています。


製造だけでなく、どの様なサービスにも「経験曲線効果」(経験を積んで慣れるにしたがい、効率が高まり経費の削減ができる)があるといわれています。


私は、この事業を充実させるためには、新宿区が事業者に対して、経験を積んで慣れるまでの一定期間に限って財政的支援を行う等、市場形成や事業者参入の促進を積極的に図る必要があると考えています。


委員会で「市場を形成するために、行政としての財政的な支援はするのか」という趣旨の質問をしましたが、明確な回答はありませんでした。


このサービスが認知されるまでの3・4年くらいが勝負だと感じます。


その間に、事業者に「無理だ」とそっぽを向かれたらお終いです。


これからの限られた時間の中で、如何に市場を形成して事業者の参入を促していくか、新宿区の役割は重要です。