『変身』ワレーリィ・フォーキン監督作品
原作ありきの映画の場合、大抵は原作に目を通さず映画のみに作品性を求めるタチなのですが、カフカに関しては原作至上主義です。そもそも映像化されているものは少ないのですが。
ただ、その中でもミヒャエル・ハネケ監督の『城』は好きです。未完の作品を映画的に脚色することなく、容赦無く中断する様はカフカの作家性を尊重した、潔い意地悪さと受け取れる。
『変身』はもっとも映像化が難しい作品と言われている(のくせ、もっとも映像化数が多いのだが)。パントマイムを用いての舞台化も幾度かされている。しかし、そこにいるのはやはり人間であって、“虫のようなもの”という認識は難しい。演出上、不正解では決してないと思うのだが。
この映画でもパントマイムを用いている。確かに現代的な映像技術を引き出されては、表情と体現による感情表現を台無しにしてしまう。それは絶対に本作であってはならない。その中で、如何に異様なものの奇怪さ、そしてカフカ的エッセンス(孤独であったり、不条理、シニスム)を出すか。
その答えは超演劇的なものだった。
あまりに大げさで、滑稽なリアクションとスローモーション。感情の変化においての、あえての唐突さ。
そしてアップすればするほど“キモチガワルイ”と思わせる、緻密に計算された関節(節)の動き。
結果、全てが良い。こればかりは映像でないと伝わらないのではないか。決してテクニックのひけらかしではない。これは <中断>
iPhoneからの投稿
