2013.03.03 「野蒜駅~松島海岸駅」

被災地巡礼の2日目として、仙石線野蒜駅から松島海岸駅までを徒歩で訪ねた。
野蒜(のびる)という地名は珍しく、2年前の震災の映像で何回も出てきて印象に残っていたので、ここを2日のスタート地点とした。

瓦礫自体はだいぶ片付いていたものの、前日の石巻とちがって、ここは2年前のままと思うぐらい時間が止まっている場所であった
テレビで見ていた映像は何かどこか遠い国で起きた出来事のように思えてしまい現実味がなかったが、東京から新幹線を乗り継けばたった3時間足らずの場所で起きたリアルな光景がここにはあった。

寒風が吹きさらす中、人の気配が全くない静寂だけの無人の野蒜駅で、2年前にここで起きたことを想像しながら一人で静かに佇んでみた。
わず跪いて、誰かに縋りながら嗚咽したい思いに掻き立てられた。

この野蒜駅の駅舎は付近の駅舎に比べて真新しく立派ではあるが、現在復旧中の仙石線は、ここから500m内陸部に移動するとのことで、もうここには二度と電車は通らず、もう二度と2年前のように人が往来することもないそうだ。

この2日間、時より粉雪が混じる東北の刺すよう冷風を浴びながら多くの距離を歩いた。
歩きながらいろいろなことも考えたが、人の生き・死にや人生なんて、何とあっけなく無常な物であろう。
あっけなく無常だからこそ大切に生きるべきなのか、どうせあっけなく無常なら、一時の感情に任せ、気の赴くまま軽薄に生きれば良いのか、多くのことを考えさせられた2日間であった。