私は子どもの頃、ご飯にみそ汁をかけて食べようとすると母親にその食べ方は「ねこまんま」といって行儀が悪いからやめなさい、と言われて育ちました。
今ではご飯にみそ汁をかけて食べることはないですが、なぜ「ねこまんま」は行儀が悪いのか、子どもの頃には理解できなかった理由が大人になった今では分かる気がしますので、なんで行儀が悪いのか分からないという子どもたちに向けて解説してみたいと思います。
話を分かり易くするために、ガスコンロのなかった江戸時代を想像してみてください。当時ご飯は薪で火をおこして釜で炊いていました。そして同時にみそ汁を作るには、お米を炊くのとは別に火と鍋を用意することが必要でとても手間がかかりました。
これに対し、最初からご飯とみそ汁を混ぜた雑炊を作るのであればどうでしょうか。ご飯と味噌を一つの鍋で煮込みますので、調理も一度で済み、より簡単に作ることができます。
ではなぜ多くの手間をかけてご飯とみそ汁を別々に作るのでしょうか。それは料理を作る人が、別々に作った方が美味しいだろう、美味しく食べてもらえるだろうと考えたからわざわざ手間をかけて別々に作ったのだと思われます。
このように考えてみると、ご飯にみそ汁をかけて食べることがなぜ行儀が悪いと言われるのかも想像できると思います。ご飯はご飯として、みそ汁はみそ汁として、美味しく食べてもらおうと考えた作り手の、手間と気持ちに対して失礼だから行儀が悪いと言えるのです。つまりそれは料理の作り手への感謝や敬意の表れなのです。
これが分からなかった子どもの頃の私を振り返ってみると、食事の前後に「いただきます」「ごちそうさま」といった感謝の言葉を発する素晴らしい文化を受け継いでいながらその心が理解できていなかったんだな、と残念な気持ちでいっぱいになります。ぜひ多くの子どもたちに早く気づいて欲しいことだと思います。
もちろん自分でご飯とみそ汁を作り、自分で混ぜて食べるのであれば何の問題もないでしょう。でも、作ってもらったご飯とみそ汁を食べる時は、作った人に感謝しながら、ご飯はご飯として、みそ汁はみそ汁として美味しくいただくのがよいと思います。
以上