0 はじめに

 私は、78期司法修習生です。任官、任検も考えていましたが、結局弁護士になることにしました。任官、任検するのであれば、おとなしくしていた方がよいのかもしれませんが、特におとなしくしている必要もなくなったので、今の司法修習がどんな感じなのかお伝えしていきたいと思います。合格体験記等については、別に取り上げていただいてますのでそちらをご覧ください。

 

 前回は、私が修習までにやった勉強について言及しました。

 

 今回は、導入修習について振り返りたいと思います。

1 導入修習とは

 在学中受験に対応した現行のスケジュールの下では、埼玉県和光市にある司法研修所で、司法修習生になりたての3月中旬から4月初旬の3週間ほど行うものです。

 

 裁判所の説明によると、「導入修習は、司法修習開始段階で司法修習生に不足している実務基礎知識・能力に気付かせ、かつ、より効果的・効率的な分野別実務修習が円滑に行えるようにすることを目的として、司法修習開始直後に司法研修所に司法修習生全員を集めて、約1か月間実施されます。」ということのようです(https://www.courts.go.jp/saikosai/sihokensyujo/sihosyusyu/syusyugaiyou/index.html )。

 

 やったこととしては、民裁、刑裁、検察、民弁、刑弁の各科目の基本的事項の講義や、実際の事件をもとにしたケーススタディ、即日起案などがありました。

 各修習期の導入修習のスケジュールについては、山中ブログに公開されているものがあるので、参考にしてください。

 

 

 導入修習は、クラス単位で行われます。クラスは、基本的に複数の修習地で構成される65人程度のもので、導入修習中に同じ教室で修習を受けるメンバーになります。組み分けについても、77期のものが山中ブログに記載されていましたので、引用しておきます。

77期1830人の場合
(B班12組)
1組:札幌,函館,旭川,釧路   2組:仙台,盛岡,秋田,青森
3組:水戸,宇都宮,福島,山形  4組:前橋,長野,新潟,富山
5組:名古屋,津,岐阜      6組:名古屋,福井,金沢
7組:静岡,甲府,広島      8組:広島,岡山,鳥取,松江
9組:高松,徳島,高知,松山   10組:山口,福岡,佐賀,長崎
11組:福岡,大分,宮崎     12組:熊本,鹿児島,那覇
(A班13組)
13組:東京           14組:東京
15組:東京           16組:東京,立川
17組:東京,横浜        18組:横浜
19組:さいたま         20組:千葉
21組:大阪,奈良        22組:大阪,大津
23組:大阪,和歌山       24組:京都
25組:神戸」

 

 78期のものについては、同じく山中ブログに教官担当表が掲載されていましたので参考にしてください。

https://yamanaka-bengoshi.jp/wp-content/uploads/2025/07/%E5%8F%B8%E6%B3%95%E7%A0%94%E4%BF%AE%E6%89%80%E3%81%AE%E7%AC%AC%EF%BC%97%EF%BC%98%E6%9C%9F%E6%95%99%E5%AE%98%E6%8B%85%E5%BD%93%E8%A1%A8%EF%BC%88%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%97%E5%B9%B4%EF%BC%94%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%91%E6%97%A5%E7%8F%BE%E5%9C%A8%EF%BC%89.pdf

 

 導入修習や集合修習など司法研修所で行うカリキュラムは、修習地というよりはこのクラスを単位として動いていくことが多いです。

 

2 導入修習の感想

 

 裁判所が「司法修習開始段階で司法修習生に不足している実務基礎知識・能力に気付かせ」と説明していることからわかるように、導入修習の期間は成績をつけて序列をつけるとか、出来ない人を炙り出すというよりは、これまで司法試験のための勉強をしてきた修習生が実務に出るにあたり、よくわかってないことや足りない能力が何かを分からせて、課題意識を持った上で次の実務修習に入っていけるようにするという期間だと感じました。

 

 そもそも3週間という短い期間ですので、この期間に吸収できることは限りがあると思いますし、導入修習で司法研修所にいる間はよくわからない疑問であっても、実務修習の中で実務に触れることで理解できることはたくさんあるので、この期間は勉強のための期間というよりは修習生や教官との仲を深める期間としてもよいのではないかと思いました。実際に導入修習で勉強漬けという人はあまり見かけず、修習が終わった後の時間は飲み会をしたり、ゲームをしたり仲を深めている人が多かったと思います。

 

 もちろん任官・任検を考えている人は、この時期から頭角を示せればベストだと思いますが、無理して空回りするぐらいなら実務修習の期間を使って着実にアピールする方が得策なのではないかと思います。とはいえ導入修習は4月初旬に終わるわけですが、そこから数日ないし1週間程度で、実務修習の即日起案をすることになるわけなので、任官・任検を希望する人は、起案の勉強は導入修習やその前からしておいた方がよいと思います。特に裁判官志望の人で、第1クールが民裁や刑裁の人は勉強が必須だと思います(民裁な人は特に要件事実の勉強はしっかりとやっておく必要があると思います。)。

 

3 導入修習中のイベント

 

 導入修習は3週間程度ととても短い期間ですが、それなりにイベントがあります。修習終わりの午後5時以降にやることが多い各教官室主催の講義、施設訪問などのツアーが公式であり、クラスや班によって飲み会やバーべーキューがあります。弊クラスでは、導入修習の期間にクラス旅行の行先を決めるためのワーキングランチもありました。

 

 導入修習は、同じクラスの人と過ごせるわずかな期間なので、この期間に他の修習地の人と仲を深めておくと、その後の修習の楽しさが変わってくると思います。

 関東の混合クラスであれば分野別実務修習で各修習地でバラバラになったとしてもすぐに会いに行けるかもしれませんが、それ以外のところだとそれなりの距離が離れていることも多く、導入修習の期間に仲良くならなければ集合修習まで一切かかわることがないということもあり得ると思われます。

 

 また導入修習中には、クラス幹事決めというイベントも発生します。かつては連絡委員ないし連絡係として事務連絡を伝達する役割もあったようですが現在ではチャットツールで全員に一斉送信されるので、クラス幹事の職務内容は、もっぱら飲み会の幹事ということになります。

 私も弊クラスの幹事をしましたが、やったことというと飲み会の予約とバーベキュー、クラス旅行の行先決めをしました。

 クラス幹事をすると任官・任検に有利になるという噂を聞いたことはありますが、特に有利になることはないのではないかと思います。どちらかというと志望云々よりも統率力やマネジメント能力、予約や会計といった事務処理能力が高い人がやった方が、クラス全体の利益は大きいのではないかと思います。

 任官・任検志望だからといって、慣れない仕事をすると消耗するでしょうし、ミスをすれば事務処理能力が低い人というレッテルを貼られることにもなりかねませんので、幹事をする能力がないと思う人が無理にやる必要はないと思います(そもそも仕事内容もただの雑用係で何か役立つものでもないですし。)。

 

 さらに修習地の幹事決めというのもあります。こちらは実務修習中、司法研修所の教官とは離れ離れになるので、その間に教官と修習生との間で円滑に連絡が取れるようにする連絡係のようなものです。といっても実際には教官が修習地に来た時の飲み会の仕切りをするくらいで、重要な職務はありません。クラス幹事と比べれば動かさなければならない人の人数が減るので、教官と継続的に接点を持ちたい人にはおすすめです(ただし幹事能力が皆無の人にはおすすめしません。)。

 

 幹事の仕事については、別に本ブログに書くかもしれません。

4 おわりに

 この連載が何部作になるのか、あるいはどこまで続くのかはよくわかりませんが、誰かの参考になれば幸いです。続編も楽しみにお待ちください。

 

 次回は、寮生活について振り返りたいと思います。