著者:長岡洋介
量子力学は、我々の目に見えない原子レベルのミクロの世界を記述する現代物理学の根幹をなすものになっており、先端的に科学技術のほぼすべてに量子力学の理論が応用されています。
そのため、理工系の学部に進学した学生は、数学的な内容も含めて必ず勉強することになります。様々な医療機器にも量子力学は応用されているため、医学部に進学した学生も量子力学の概念は勉強するはずです。
しかし、この量子力学をきちんと理解するのは非常に難しく、多くの学生が挫折していくのが実情です。
量子力学が難しい理由は
主に次の2点だと考えられます。
⑴我々の日常的なイメージからかけ離れた理論であるため、抽象的な概念や数式の意味の解釈が非常に難しい。
⑵偏微分方程式や複素関数など、数学的に高度なものを扱う必要がある。
⑵については、時間をかけて地道に手を動かしながら勉強すれば、克服できると思います。しかし、⑴は自然科学に対する正しいスタンスをとることが重要です。自然科学の理論は、現実世界で起こっている現象を記述するためのモデルであり、我々のイメージに乗っかるものとは限りません。こじつけに思えるようなモデルであっても、観測データを矛盾なく説明できるものは正しい理論として認識されます。
量子力学の理論を自分のイメージに合うものにしていくためには、「数式の意味を丁寧に解釈しながら進める」「理論を積極的に活用する」などの方法が有効だと思います。何度も繰り返し考えたり、自分なりに咀嚼をする中で、難解な理論に対する理解は深まっていくためです。
この本は、そういった視点に立ち、まずは量子力学の概念や全体像を掴んでもらい、量子力学を身近なものとして捉えてもらうために書かれていると思います。
第1章〜第4章で、前期量子論(高校物理の原子分野)と、シュレディンガー方程式について大雑把に分かりやすく解説されています。
高校物理を一通り勉強した受験生や大学生であれば、理解できると思います。
シュレディンガー方程式について、理解を深めたい方には、次の動画の視聴をおすすめします。
《量子力学入力》
❶ https://youtu.be/zlVnhTD7qMQ?si=JBRtvueBH-gv-ERc
❷ https://youtu.be/LFj4-MyPNjw?si=54bAq1MUZLCw2JZJ
❸ https://youtu.be/_gji66Vrti8?si=TidCo7-SgB8r_6V8
❹ https://youtu.be/-ZcbYd-3bKY?si=63VWypJkfmT8DYgl
❺ https://youtu.be/letXy-YEX-8?si=SpB10vexNtdK235W
❻ https://youtu.be/cJ4KJcETsCQ?si=lCAl2HILdx9P_sLK
❼ https://youtu.be/bfxgtbsKSuM?si=xh7Ips9UgcfmNby-
❽ https://youtu.be/1xl-taCzFM8?si=AzU5uD-WjEnM4WY-
❾ https://youtu.be/L_w-LAvY1Rs?si=EihGp7pzFYktFY7g
➓ https://youtu.be/jzeS7YP-ZAI?si=Q_TvHFIblbuI9RLj
そして、第5章〜第8章では
量子力学によって解析や理解が進んだ物性物理など、量子力学の応用分野について解説をしています。量子力学の理論の正しさが、様々な事例を通じて確認することができ、量子力学について理解を深めることができると思います。
数学的な内容も含めて深く勉強したい場合は、量子力学の専門書を読む必要がありますが、その前にこの本を一読することをおすすめしたいと思います。専門書を読み進めるためのガイドになるはずです。