『天皇と軍隊の近代史』
加藤陽子
勁草書房
 

日本の古代国家は、中華帝国の周辺部の
文化的に遅れた国として誕生した。

こうした日本が国内支配の権威付けを行うためには
朝鮮半島の王朝(新羅など)を
日本が従属させているとの虚構、
また、中国の歴代王朝と
対等の関係を築いているとの虚構が必要だった。

『日本書紀』も、天皇に服属している国として
朝鮮半島の国々を描いており
(神功皇后の新羅征伐点、三韓朝貢)、
このような虚構や創作が国内支配にとって不可欠だった、と。

天皇をいただく古代国家は、中国の柵封体制に入ると
朝鮮と日本が同等になってしまうため、
朝貢使節を送りながらも
柵封体制には入らないようにしていただけでなく、
天皇と言う称号を生み出した動機も、
「東夷の小帝国」をつくる意思からだった。