遺伝かしら、器が大好き。
若い頃から茶道を習っていて、楽焼、織部、萩、備前、久谷、などなど、師匠の宝物の素晴らしい茶器に触れていたせいか・・・
しかし、和洋問わず器が好き。

ここ数年は、自宅での食器はもっぱら「岸野寛」君の器だ。
15年くらい前、不思議な縁で出会って、そのころまだプロになりたての彼の作品は
人柄と同様、真っ直ぐで素朴で、気持ちがこっちに向かって来るほどに力強く頑固、そして、
温かかった。
いつも彼が言っている言葉「毎日使ってほしい」。だから、気取りがない。
毎年、個展に行く度に、とてもとても立派になられ、雑誌や本で紹介される人になった。
それでも彼の人柄は変わらない。個展の前後には必ず手書きで案内とお礼状をくれる。
器について、私みたいな素人と真剣に語り合ってくれる。
作品は日々の切磋琢磨から繊細さが加わってきている。しかし、彼はまだまだ若く、力強く頑固で、伊賀の土がそのまま感じられる温かさ。
 
ここ一年、お茶のお稽古を休んでおり、食器をよく割ってしまうようになった。
お茶のお稽古を始めた頃、洗面器までも両手で扱ってしまう、と師匠に言い、笑われたことがあった。そそっかしい私が、食器を割らなくなっていたのは茶道のおかげだったのか。
また、お茶のお稽古を始めたくなっている。地味だけど深い深い世界。あの茶室での空間がたまらなく懐かしくなっている。

始めに器好きは遺伝と書いたが、両親ともに大の器好き。
なのに、家庭という場はなんと雑なことか・・・とこないだも友人と話していた。
食器棚はケーキ屋さんのプリンが入っていた器や、景品でもらったような器でいっぱい。
お気に入りの器だけをきちんと整理し置いて、毎日使えばいいのに。
家族が多いほど勝手に捨てれないとか、もったいないとか、言い訳はさまざま。
一人暮らしで気ままに快適空間をつくれている私は、たまに帰る実家では発言権なし。
でも、器好きに育ててもらったことには感謝かな。