先日、京都の年中行事の、吉例顔見世興行の歌舞伎を観に行った。
高校生の時、芸術鑑賞の授業で初めて歌舞伎を観て、なんと心地よく眠れるのだろう・・・という感想しか持てなかった、ごくあたりまえの高校生だった私。
年齢を重ねて、いろんな舞台や古典芸能に触れ、またいろんなライブや映画などを見て、いろんな経験を積むうち、歌舞伎の素晴らしさや魅力がわかるようになってきた・・・少しだけれど・・・

やっぱり一番のファンは、片岡仁左衛門さん。
佇まいがなんとも色気と優しさがあり、とても素敵。
そして、この方、江戸の荒事、上方の和事、さらに不良役など、なんでも素敵に演じられる。
きっと、心持が素晴らしいのだろうな。
今回は、不良で色男役。「与話情浮名横櫛」素敵でした。

何度か歌舞伎を観ているけれど、南座は初めて。
まあ大層華やかで異空間。年末にふさわしい行事です。

意味はよくわからなくても、一枚の絵を見ているような衣装や並びの美しさ。
男性もうっとりするという、女形の所作や台詞回しの美しさと色っぽさ。
完全に完敗。
女に生まれただけで、女ではない!女にならなければならないのだ!と、強く感じた次第です。

話の展開だけを考えれば歌舞伎には理不尽なものが多いのに、多くの人が、残酷な場面でも、女が苦しんでいる場面でも、何かを感じ、拍手を送る。歌舞伎特有の世界観。それは、演じる者のどこかに「美」というものが潜んでいなければならない。と、仁左衛門さんはなにかの雑誌で語っていた。
なるほど。

私達は、究極の「美」に感動しているのか。
しかし、歌舞伎は深い。ますますはまってしまいそう。
やっぱり、年齢の影響あり!