葬儀は9時スタートだった。
私はこれで最後だと言い聞かせ、重たい体を起こして準備した。
準備をして義母を迎えに行った。義母は私にパールのネックレスをくれた。
「良い物だから、あなたに使って欲しい。
あなたが使って。」
私は正直、重たかった。
旦那と別れたらきっと義母との付き合いも無いだろう。特に高い物を頂くのは気が引けた。この先長く付き合うならまだしも私はこれで終わりにしたかった。
高価な物は処分しにくい。
「お義母さん、いいよ。私、持ってるし。たまたまつけてこなかっただけで、ちゃんとあるから。」
義母は引かなかった。
「お義父さんが、百貨店で買ってくれた良い物だから。もらって。なんでもらわんと?いいからもらって」

何度かお互い押したり引いたりしていたが、義父の形見だと思って頂戴した。
娘や旦那は形見になるものを物色していたが、私は何一つもらわなかった。私には必要無いし、それが側にあるだけで旦那を思い出し、されたことが甦ってくる。そんなもの自分の新しい人生に必要ないものだった。

あまりにしつこいので、全部吐いてしまおうかと思った。
正直、もう黙って欲しかった。

やり直せと言われることも、これからも家族としてやっていこうと言われるのも私の中には無い事だったから鬱陶しかった。
全部話せば黙ってくれるかなと思った。そしたら言いたくて言いたくて仕方なくなってしまった。

葬儀の日、一度だけ義母と2人きりになった。
私は義母に現実を知らせる為に告白した。