3月15日、東京電力は、柏崎・刈羽原発7号機へ核燃料の挿入を開始した。「能登半島地震」の教訓など全く省みず、「地元合意」も無視してである。さらには、「能登半島地震」を引き起こした「海底活断層」の東先へと活断層が佐渡まで続いており、その活断層による地震警報が解除されていないにも関わらず、である。

 これは、福島第一原発事故以来の日本政府の「脱原発」から、「原発推進」へと転換した岸田政権のシナリオに沿ってただひた走っているからである。岸田の「GX(グリーントランスフォーメーション)推進法」成立に対して「フクイチ事故の呪縛からやっと解き放たれた」などと経産省・資源エネルギー庁幹部が話したように、この法案の成立を機に、資源エネルギー庁は、2024年秋に東北電力女川2号機、中国電力島根2号機をまず再稼働し、東京電力柏崎・刈羽原発の再稼働へとシナリオを描いていた。つまり、岸田政権はフクイチと同型の「沸騰水型原子炉(BWR)」の再稼働を目指しているのである。

 こうして、資源エネルギー庁長官村瀬佳史や嶋田首相秘書官などが新潟県花角知事に圧力をかけている。とりわけ、村瀬は「エネルギーの安定供給や福島原発廃炉費用の捻出のため、柏崎・刈羽原発6、7号機の早期再稼働が必須である」との斎藤経済産業相の文書をつき付けた。他方昨年12月には、原子力規制委員会(三条委員会として設立されたはずの同委員会は完全に経済産業省に取り込まれている)は、柏崎・刈羽原発の「核燃料物質移動禁止命令」を解除した。また、新潟県は県独自の3つの「検証委員会」と「検証総括委員会」が設置されており、それぞれが議論していた。しかし花角知事は「検証結果」を急がせ、「東電は、これまで何度も不正や隠ぺいを引き起こしてきた。どうみても原発の事業者として不適格だ」と発言している池内了「検証総括委員会」委員長(名古屋大学名誉教授)を解任した。

 こうした柏崎・刈羽原発の再稼働の手続きを政府・東電・新潟県が行っているさなかに「能登半島地震」が起きたのである。

 多くの人が指摘しているように、大地震による原発災害においては「避難計画は絵にかいた餅」である。数分で襲来する津波、広範囲での土砂崩れと地盤の隆起と陥没、家屋・建物の倒壊。「屋内退避」も「圏外避難」も全く不可能であることが、誰にでもわかる。さすがに花角知事ですら「県民の間で不安が広まっている。どう受けとめているか、丁寧に見極めていきたい」と村瀬資源エネルギー庁長官に答えざるをえないのだ。

 

  私は、いかなる意味のおいても原発の再稼働・リプレースに反対である。

  とりわけ、現在においては大地震が老朽原発を襲うのである。原発大事故は必然であるからだ。

 

追記:柏崎・刈羽原発7号機への核燃料挿入作業が17日早朝から中断した。搬入装置のトラブルだそうだ。872体の核燃料のうち、たった12体を移しただけである。なんたる技術力の貧困さ! !

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2024.04.17       木霊