オリックスブレーブス移転後は、「阪急西宮スタジアム」と名称が変わりましたが、西宮球場時代からも野球以外に多目的に使用されていました。


コンサート会場としては、クィーン、マイケルジャクソン、マドンナ、ボンジョビなと海外の大物アーティストもやってきました。また業界では有名な「3000人の吹奏楽」の会場にもなっていました。


西宮球場と切っても切り離せないのが競輪。1949年3月から2002年の63年間、西宮競輪が開催されました。阪急ブレーブスの集客不振を打開するためでしたが、その目論見はあたり連日満員だったようです。

グラウンドに木製のバンクを組み立てレースを行ってました。


球場内には、競輪の払い戻しコーナーが。


晩年は、競輪がメインとなり、スコアボードを取り除いて競輪の特別観覧席が設置されました。


野球場感がなくなってしまいました


西宮球場の隣にある西宮球技場は、関西のアメリカンフットボールの聖地です。球技場の跡地近くには記念碑が設置されています。西宮北口駅や外壁にアメフトの絵があったりします。


 西宮球技場の跡地。雑草に覆われています。

強者どもが夢の跡。


西宮球場の外野付近の外壁。ユニフォームからすると関学?


空中写真の変遷

西宮第二球場は、西宮球場と同じ方角で作られてます。(右上の写真、西宮球場の名神高速道路を挟んで右下)



(上左)1949年。周りはまだ田んぼ。

(上中)1975年。競輪のバンクは縦方向。

(上右)1979年。阪神高速道路を挟んで対角線上に西宮第二球場があります。西宮球場と同じ方向で作られてます。

(下左)1995年。競輪バンクは横方向に設置。

(下中)2007年。更地になってしまいました。

(下右)2009年。西宮ガーデンズ完成。


西宮競輪廃止後に球場は取り壊され、2008年、跡地に商業施設の阪急西宮ガーデンズができました。

5階には阪急西宮ギャラリーがあります。ここには、かつて西宮球場や阪急ブレーブスが存在していた痕跡が残されています。


ギャラリーはかつては部屋でしたが、改装してオープンスペースになり、ちょっとグレードが下がった気がします。


ホームベースがあった位置には、ホームベース型のプレートが設置されています。大阪球場後のなんばパークスと同じですね。かつて球場敷地内にあった、阪急ブレーブス子ども会30周年石碑も移設されています。


ギャラリー開設当初はパンフが配布されてました。


阪急西宮球場とその周辺のジオラマ。

精巧な作りで、いつまでも見ていられます。


ホームベースがあった位置がわかります。


かつてのファンを蔑ろにしない姿勢はとてもうれしいです。


野球とは離れますが、阪急電車といえば、全国的に珍しい平面交差、通称「ダイヤモンドクロス」がありました。


かつて阪急電車神戸線と今津線とは平面で交差していましたが、運転本数の増加に伴う安全保安上の問題から、昭和59年3月25日ダイヤモンドクロス」は姿を消しました。

西宮ガーデンズの北側に高松ひなた緑地内にダイヤモンドクロスが残されています。


鉄道での平面交差は非常に珍しいそうです。



こんなレコードがありました。ひたすら電車の音が収録されてます。


西宮市のマンホールには甲子園球場がデザインされています。


阪神タイガースは西宮市の球団です。


阪急ブレーブスは強かったですが、観客はガラガラ。80年代後半は内野二階席のベンチシートに寝転んで観戦できたくらいです。


一方の甲子園球場は、阪神タイガースが弱くても観客がいっぱい。


球場建設の際にも、近くに甲子園球場があるのに球場を作るのかといった議論もあったようです。


西宮球場のナイターで、外野最上段から南方向を見ると甲子園球場の照明灯が見えましたが、「あっちはお客さんがいっぱいなんやろな。」と羨望の眼差しで見てました。


豊中球場で始まった全国中等学校野球大会(後の高等学校野球大会)を「満員の観客を阪急電車では捌けない」とのネガティヴキャンペーンで阪神電車・甲子園球場に取られるなど、阪急と阪神は因縁の間柄でした。そんな阪急がまさか阪神と統合するとは。

(しかも、その後ライバル球団の近鉄と合併することになるとは夢にも思いませんでした。)


今や、初詣の阪急電車の車内吊広告にタイガースの選手が載っているとは夢にも思いませんでした。複雑な気持ちですが、これも時代の流れなのでしょうね。


阪急百貨店の外観です。宝塚歌劇以外はなくなってしまいました。


西宮球場だけでなく宝塚ファミリーランドもなくなり、宝塚歌劇しか残っていませんが、西宮ガーデンズに阪急西宮ギャラリーが設置され、阪急ブレーブスが確かに存在した痕跡があるだけでもせめてもの救いでしょうか。


         (阪急西宮球場 終わり)