図書室かどこかで読んだと思うのですが、子供の頃から好きな話の一つで「三方一両損」があります。落語や講談の大岡政談もので、それぞれ一両づつ損をして、めでたし、めでたし、となりますが、これは情報空間がきちんと共有され、三者それぞれがその場での美しい態度を採れるから成り立つ話です。一人でも、自分のことだけを考え、抜け駆けしてしまえば、美談と成り得ません。真善美の価値観を高めあえる場を構築できた結果と言えます。


日本が治安がいいと言われるのも独自の情報空間の構築が奇跡的にできたからと言えるでしょう。水は低きに流れるといいます。情報空間の違う海外の人でもそれを尊重してくれるなら成り立ちますが、あくまでも情報空間での縛りなので、それに重きを置かなければ、崩すことは簡単です。


違う情報空間を持った人をたくさん受け入れようという方針であるのであれば、「三方一両損」の世界は無理としても、公権力の発動の仕方を環境、選定、醸成等も含めて整備して、せめて「三方一両得」の世界に留めて置く方策が必要だと思います。そうでなければ、混沌の世界に簡単に流れ、折角の治安の優位性も消え去ってしまうのではと危惧しています。



 

日本人のための憲法原論

  

逆説の日本史1 古代黎明編/封印された「倭」の謎 (小学館文庫)

  

樅ノ木は残った 上

  

ディープステート 世界を操るのは誰か