現在カフェギャラリー百水で行われている展示『白と黒』に関連して、2月2日にはワークショップ『墨を使って自由にかいてみよう!』が開催されました。

午前のこどもの部と午後おとなの部の2回行われた今回のワークショップ。

今回はおとなの部の中身をご紹介します。

 

こどもの部についてはこちら↓

屋久の郷ワークショップ『墨を使って自由にかいてみよう!』前編

 

 

午前も午後も行われたミニ講座ですが、午後の部の講座はおとな向けということで少し踏み込んだ内容でした。

中国で生まれた墨絵の伝統的な絵を少し見た後、話は戦後の日本の美術界に飛びます。

 

1954年に関西の芸術家たちによって結成された具体美術協会は、伝統を揺さぶり新たな美術表現を模索した団体です。

それまでの型にはまった表現方法を破壊し、より自由な制作方法で作られた作品を数々発表しました。

 

 

 

 今の感覚だとあまり驚きはないかもしれませんが、この表現の自由さは当時の美術界からすると画期的なものであり、前衛芸術と呼ばれました。

 

 

しかし、彼らも無から新しい作品を作り出したのではありません。

具体美術協会の中心となっていた吉原治良に大きな影響を与えたのが禅僧であった中原南天棒でした。

南天棒は今までの形式が重要視されていた書の世界に、飛沫などの偶然性を取り入れた新たな表現方法を生み出した人物です。

 

 


 

 

 

そして話は西洋の美術界へ。

アクションペインティングという言葉が生まれるきっかけとなったアーティスト、ジャクソン・ポロックの登場です。

 


 

それまでキャンバスを縦に立てかけて描くのが当たり前であった西洋絵画。

ポロックは、彼が生まれたアメリカのルーツであるネイティブアメリカンのナバホ族の砂絵から着想を得て、紙を床に置いた状態で絵の具を垂らしたり飛ばしたりする制作方法を用いて美術の常識をぶち壊します。

制作行為自体が作品であり、画面に表現されたものは作者のエネルギーそのものだという考えです。

 

 

 

 

日本と西洋に共通して戦後に起きた今までの慣習の破壊と新たな創造は、ただ闇雲に行われたのでなく、どちらも過去への学びから来ていることがわかります。

最後はこれらの破壊と創造が生み出した芸術家たちの作品を少し観て講座は終了です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は森へ行き、思い思いの制作へ。

 

 

こどもの部とはまた違った静けさで、皆さん黙々と制作を行います。

 

 

禅僧の話が印象に残った参加者の方は、偶然性を大事に、なるべく自分の意思が介入しないように重力を使っての制作に挑戦します。

 

そこには白と黒の美しい模様が生まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

自分のエネルギーを画面に表現しようと挑戦した参加者の方は、衝動に任せて土も活用します。

 

 

 

 

 

 

その他の参加者の方も全身を使って表現。

 

 

 

 

屋久島高校の美術部からは生徒さん2人と顧問の先生、外部の先生の4人で参加してくれました。

自ら持ってきた道具も使って、皆さん色々と実験をしていました。

 

外部の先生は普段から制作を行っているアーティスト。

大きい紙を丸めたり踏んだり、さすがの作品ができあがりました。

 

 

 

 

 

思うがままに筆を動かしてみたり

 

 

 

前日に釣ったイカを描いたり

 

 

 

木に登ってみたり

 

 

 

 

屋久の郷の通所者の永田香奈さんも参加

 

 

 

女!男!人!田!大!

世界の本質を表現した作品。

 

 

それぞれ集中した制作時間を過ごし、

最後には皆で集まり、一枚ずつ作品を見ながら制作で意識したことを話してもらいました。

 

 

 


 

 

 

今回皆さんに作ってもらった作品は、週替わりで屋久の郷の併設ギャラリー百水に展示しています。

展示『白と黒』は3月中旬まで行われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

屋久の郷・百水では今後も企画展示やワークショップを行っていきます。

皆さん、ぜひ足をお運びください!

 

 

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