こんにちは、訪問ありがとうございます

 

私が嫌いで嫌いで、大嫌いな小児科救急外来についてです。

 

私、寝つきが悪くて一旦寝てしまえば、

なかなか起きないんですけど、

 

寝つきが悪くて、寝ている間に電話がかかってきたり、

ちょっと起こされると、そこからまた寝れないんですよ。

 

だから、救急外来が嫌いで、

 

そんな嫌だった小児救急外来の話を思い出して書いてみます。

 

私が居た病院は大都市で、

小児科医が10人近くいて、

1年365日、救急車を24時間受け入れている病院でした。

 

救急外来のある日も、

ふだん通り

朝は9:00から勤務が始まります。

で、普段通り17時まで勤務なのですが、

 

17時から救急外来当番が始まり、

しかも、17時から小児科病棟の当番になります。

 

って言っても、18時くらいまでは病棟に小児科医がうろついていますので、

その人は病棟の仕事などもやってくれるのですけど、

 

夜間帯になると主治医ではなくて、

救急当番になんでも電話がかかってきます。

 

救急外来の研修医は1年生と2年生の2名体制だったり、

1年目だけだったりします。

 

1年目の研修医で、まだ、半年も経っていなかったり、

小児科研修をしていないと

 

研修医にも小児救急外来を教えなくてはいけません。

 

そして、夜中も起こされながら、朝9:00で救急外来は終了します。

 

と、同時に9時から私の小児科医としての業務が「こんにちは」ですガーン

 

そして、午前中は外来or病棟の仕事をこなし

勇気があれば、部長に当直明けなので帰らせて欲しいといって

帰ることも可能ですが

 

午後の慢性疾患の外来などがある日は

午後も自分の外来をしなくてはいけません。

 

前日9:00→17:00 8時間勤務

17:00→9:00   16時間勤務

9:00→17:00   8時間勤務

合計32時間連続勤務の出来上がりです。

帰宅後は泥のように眠り、

次の日はいつも通りの朝が始まりますショボーン

 

このような過酷勤務が

週1回訪れるのです。

 

私はこの病院で5年間勤務しましたが、

おかげさまで小児科医としてかなりの実力を身に着けることが出来ました。

 

私がこの病院に来る前に居た病院は

小児科医は3人

小児救急外来は

小児輪番で月3回、1人1回です。

 

私は何を血迷ったのか、

地獄のような野戦病院に特攻してしまったのです。

(うーん、大失敗だけど)

 

では、実際の救急外来のお話をしていきます。

 

17:00からボケボケと医局でインターネットサーフィンでもして

いると、

 

院内PHSがなります。

 

私の名前は、菅野としておきます。

 

救急看護師

「菅野先生 15分後に救急外来がきます}

 

私「はい、何の患者さんですか?」

 

救急外来

「熱性けいれんの1歳男児です。よろしくお願いします。」

 

ツーツーツー

 

看護師は

言いたいことだけ言って、切ってしまいます。

忙しい救急外来では良くあることです。

 

私は救急外来に降りていき

 

今日の、研修医は誰かな?

とまずはcheckします。

 

お、1年生じゃん。

こいつと一緒にみるか。

 

1年生が診察している診察室に言って、

 

忙しくなかったら

1歳のけいれんの児がくるけど、

一緒に診る?

 

1年生「はい。診たいです」

 

よし、こどもの採血と点滴したことある?

 

1年生「いえ、ありません」

 

じゃあ、やってみますかね。

 

こんな感じで

 

1号液200ml

点滴セット

セルシン1A(未開封)シリンジ

採血用のスピッツ(生化、血算)

などを準備してまちます。

 

まあ、たいがいは、単純型熱性けいれんで

到着時はけいれんは止まっています。

お母さんに抱っこされて、普通に意識もあってということが多いです。

 

救急隊からの申し送りを聞いて、

熱があるかどうかを確認して

SPO2モニターを付けて、

診察します。

 

私から1年生に質問「けいれん時にまず確認することは?」

 

1年生「意識があるかどうかです}

 

私「今、意識あって、痙攣もしてないね」

 「バイタルのうち、何が重要だと思う?」

 

1年生「血圧とか呼吸とかですか?」

 

私「成人だとそうかもしれませんが、

小児のけいれんだと、熱があるかどうか。

これをまず確認してください」

「小児科では熱がないけいれんは、まれで、そういう患者が来たら、

すぐに小児科医を呼んでください」

「通常はよくある、熱性けいれんで、ほとんど無害です」

 

1年生「はい。熱は39.0度です」

 

聴診して、肺炎や喘息の音がはいっていないか

のどが赤くなってないかを確認し

母には、熱が出始めた時間を確認します。

 

たいていは、

「気づいたら痙攣していて、抱っこしていたら熱に気づいた」

「朝から熱で、午前中に小児科にいってきました」

 

など、熱性けいれんは「発熱の初日」に起こることが

ほとんどです。

 

母には話を聞いたら、待合室で待ってもらいます。

 

逆に発熱3日目や4日目にけいれんがおきてくると

おや?!と思います

髄膜炎、脳炎などが疑ってみないといけなくなるからです。

 

私、「では採血、点滴してみよっか?」

 

冬ならば、インフルエンザウイルスキットを

鼻に差し込んで検査します。

 

手背を見てみて、血管みえる?

研修医「はい、ここの血管を刺してみようと思います」

 

初めてでは、たいてい失敗します。

しかも、手背で一番太そうな血管から刺しますので、

失敗すれば、一番良い血管がつぶれます。

 

ここで、小児科医は

まだ、この研修医にさせるか、自分がするかの選択をしなければなりません。

 

今回は、

ほとんど無害の発熱初日の熱性けいれんですから、g

練習のため、続けさせます。

 

反対の手背を診てみて。

 

次も、一番太い血管にさして、

今度も失敗してしまいます。

 

両手を失敗したら私の出番です。

 

(こんなふうにして研修医がいると、

練習の相手となってもらうことはよくあります)

 

止血が終わった、先ほど失敗した反対側の手背でみて

 

ぷすっと刺します。

 

逆流する血液を確認したら、そこでいったん、止めます。

 

逆流がいいでしょ今。

このまま留置針を送り込もうとすると

子ども血管は細いので、送り込めないことが多いです。

 

針を水平に寝かして、1mm程度ごくわずかに針ごと進めます。

この時点で、逆流がいきおいよく確認できれば

99%成功します。

 

(失敗する場合は、この時点で逆流が確認できません。)

 

で、留置針を送り込んで針を抜いてできあがりっと。

 

で、そこからCBCと生化のスピッツにポタポタと流れ出てくる血をとって

採血もついでに終わらせます。

 

痙攣が止まっていないときは、

手背にサーフローをさして、そのままセルシンを静脈注射します。

で、点滴をつなげて、採血は肘などでとるんですけど

スピード勝負だから、

救急隊が到着したら

救急隊の話など聞かずに、1分以内にサーフロでさしてセルシン投与です。

セルシンはゆっくりと投与しますが、入れている間に通常はけいれんが止まります。

 

とまらなければ、フェノバールの持続投与を行っていました。

 

研修医は採血、点滴させたら、じゃあ、あとは診ておくから言っていいよと

解放してあげます。

 

採血結果はほとんど何もなく、インフルエンザも発熱後すぐはでにくいから

点滴がおわる1~2時間ほど救急外来のベッドで様子見て

問題なければ、

明日私の外来に連れてきてっていって、自分で自分の予約枠にねじ込んでおきます。

 

こんな、単純型熱性けいれんは可愛いものですが

小児科で救急車で運ばれてくるほとんどの患者は

熱性けいれんです。

 

1回当直すれば、1~2人は熱性けいれんが運ばれてくるくらい

良くやってきます。

 

次回に続きます。