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医療の不確実性ってご存知ですか?

 

医療の不確実性

○治療薬(手術)が必ず効果がでるとは限らない。

○治療(手術など)や注射、内服で副反応が出ることもある

○手術、穿刺、採血、と言った医療技術にはミスが伴うことがある。

○通常とは違う生体の反応や、臓器、血管、神経の位置が皆と違う

場所にあることがある。(そのために、予期せぬ損傷を与える)

○診断が必ず正しいとは限らない。

○診断がつかないことさえある。

○現代医療では分からないこと、

特殊な検査をしないと分からないこと

治療がない病気などがある。

○治療、手術によって治せない病気もある。

 

こういったことが医療の不確実性です。

 

医療を行う医療者(私の記事では主に医師)は、

どんなに完璧に仕事をしても、

ある一定の確率で、ミスや予期せぬ結果が起こることもあります。

 

完璧な医療は、無理という事は、

「医師」や

裁判になった場合「裁判官」

も認識している所です。

 

従って、医療ミスや、偶発的な事故などが起きた場合、

医師が責任を問われることは少ないです。

 

医師はパーフェクトヒューマンではないし、

パーフェクトな医療は無理とわかっているので、

ミスしても、罪には問われない。

逆に言えば、ささいなミスして罪に問われるのであれば、

外科手術なんて、医師はしなくなってしまいます。

 

患者さんが求める誰もミスしない完璧な医療は、

「そもそも存在しない」

のです。

 

もちろん、ミスを減らす努力は続けられており、

技術力

知識

ミスの集積と分析

などにより、ミスは減ってきています。

 

しかし、

人間が行うものであるし、

習熟度は医師によって違います。

研修医は、習熟度が低いですし、

3年目の若手医師なんかも、研修医ではなくなっても

まだまだ、未熟です。

しかし、経験を積んで、知識を徐々に増やして

一人前の医師になっていきます。

卒後20〜30年の、習熟した医師だって、

研修医や若手の時期があったわけで、

若手の医師も経験を積んで、一人前になるために、

沢山の患者さんを見ることになります。

 

患者さんは、1人前のベテラン医師だけに見てもらう訳には

いかないのですし、

若手の医師がミスを犯しやすくても、

そう言った経験をして、一人前になるわけです。

 

例えば、日本では10万回の出産で、5名程度の妊産婦が死亡します。

 

その5名に入ってしまえば、

病院の体制が悪い、

産婦人科医の腕が悪い

と思うでしょうが、

0にはできないですし、ほとんどの場合、産婦人科医が悪い訳ではないのです。

出産はゼロではないリスクが伴うものなのです。

 

外科的手術でもそうです。

予期せぬ出血が起きた。

麻酔薬で致死的不整脈が起きた。

予期せず、他の臓器を傷つけた(膵臓を損傷した)

がん細胞を切除したつもりであったが、取りきれてなかった。

 

結果が良くなければ、

外科医の腕が悪かったと思うのでしょうが、

完璧な手術などそもそも存在せず、ある一定のミスは折り込み済みというのが

手術です。

 

医療は、不完全なもの!

 

完璧なる医療は存在しない。

 

内科や、小児科だってそうです。

 

熱、咳、鼻汁で受診した人が

1週間しても良くならず、

レントゲンを撮ったら、

悪性腫瘍が見つかった。

 

こんなことは、あり得るのですけれど、

そもそも、風邪の症状の人に最初から悪性腫瘍を疑うことはできないですし、

1〜2週間後に送れて診断がついたとしても、

それは誤診でも、見逃しでもなく、

最初からは悪性腫瘍は疑えないよ。

ってことなのです。

 

治らないから、(大きな病院に紹介受診されて)

精査した結果見つかっただけであり、

かかりつけ医が誤診したというわけではないのです。

 

ごく稀に、風邪だと思っていたら、

劇症型のウイルス性心筋炎で、翌日には亡くなってしまう

患者さんがいますが、

劇症型心筋炎になったのが、運の尽きで、

正確な診断が出来なかった小児科医や内科医が

その子を殺したわけではないのです。

運良く、すごく優秀な内科医や小児科医であれば

心エコーなどで、気づくことが出来る場合もありますが、

それはかなりレアケースです。

 

私の2〜3年後輩の小児科医の事です。

小学生が喉の違和感と、長引く咳で耳鼻科と

後輩でfollowしていました。(全経過は1ヶ月に満たない)

 

MRIで喉から肺を見る予定が2〜3週間後に入っていました。

 

私が当直していると、

警察官がきて、

〇〇さんが突然死したけれど、

こちらの病院に定期的にかかっていたと聞いています。

どのような理由で受診していたのですか?

 

と、事情聴取を私が受けたことがあります。

 

一応、部長に、カルテ見せて警察に説明してもよいかと

聞いて、OKが出たので説明しました。

 

もちろん、私は、後輩に忖度して、警察官が納得させて

帰らせました。

 

MRIで精査予定であったが、MRIが予約が一杯ですぐに

撮れないので、3週間後に精査予定であった。

長引く咳とのどの違和感については、

耳鼻科も受診して経過を見ているところであった。

 

突然死するような病気は、

診察からは見つからなかった。

 

というような感じです。

 

結局は、縦隔の悪性リンパ腫で、

腫瘍が気道を塞いでしまい、突然の窒息死

だったというのを、

後日、搬送された大学病院の先生から教えてもらいました。

 

咳が長引いていたなら、

胸部レントゲンを確認すべきだったが、

彼は撮影していなかった。

撮影していれば、縦隔の陰影から

縦隔腫瘍が見つかった可能性が高いからです。

 

なぜ、胸部レントゲンを撮影しなかったかというと、

レントゲンは、放射線を浴びる検査であり、

後日MRIで精査予定であるから、

無駄に取る必要がないと

後輩は判断したのです。

 

その通りです。間違っていないのです、

その小学生を思った故に無駄な放射線を浴びせることを

やめたのは、間違った考えではありません。

 

まあ、ただ、私なら、数週間も咳き込んでるなら、

レントゲンは撮ったでしょうね。

簡単にすぐにできて、得られる情報も大きいですから。

 

しかし、その数週間以内に、まさか、腫瘍によって窒息死してしまうことは、

予想することは困難だったのです。

 

かなり、後輩も落ち込んでいました。

 

親御さんは、悪性腫瘍なら仕方がなかったと

病院にクレームを入れてきたりはありませんでした。

 

窒息死する前に見つかっていても

助けることは出来なかったかもしれないからです。

 

このように、医療は万全ではないし、

万全を期すために過剰に検査することが

正しいわけではありません。

 

そんなことしたら、医療費がかさんで国民の保険料負担が増える一方です。

 

コロナワクチンだって、

不確実です。

 

どれだけ効果があるかも不確実

副反応も不確実

 

しかし、多数に接種した経験上、

接種した方が、接種しないよりも

重症化したりする率は減りそうだ

とう解釈です。

(接種して、副反応で死ぬ人よりも、

接種して死の運命から逃れられる人の方が多い。

という判断のもとでやっているわけです。)

 

子宮頚がんワクチンであるならば、

副反応で苦しむ人数より

接種したことで子宮頚がんを回避して死の運命から逃れる数が

圧倒的に多いことがわかったから、

やった方が良いよ。

という事です。

 

これが、医療の不確実性というもので、

医療は、安全で完璧なものではないよって

いうことを

知っておいて欲しいと思います。