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これまでの記事

その1 発熱

その2 治療が必要な発熱

その3 下痢 嘔吐

その4 気管支喘息

その5 便秘

その6から9 学校伝染病について

 

 

学校保健安全法

「学校伝染病」

第3種その他の感染症

 

○手足口病「発熱やアフタを伴う急性期は出席停止。全身状態が良くなるまで」

○ヘルパンギーナ「発熱やアフタを伴う急性期は出席停止。全身状態が良くなるまで」

これは、兄弟の疾患ですので、まとめて書きます。

原因ウイルスはエンテロウイルス属です。

人に病原性あるものは60種類以上あります。

 

熱が出る時も、出ない時もあります。

口や手足の発疹の前の熱がぽっとでて、

咳や鼻水も目立たず、熱だけで少し様子見ましょうと

いっていると、

翌日などに口の中にアフタが出来てきて、

あ、ヘルパンギーナですね。

夏風邪なんで様子を見ましょう。

なんて言っていると、さらに手足の裏に水疱がでてきて、

手足口病だったね。

なんてなってくることがあります。

 

 

 

母親によっては、ヘルパンギーナと誤診されたが、

本当は手足口病だった。

 

なんて思う人もいます。

 

私は、手足口病をヘルパンギーナと誤診することはないので、

ヘルパンギーナの時に、手足口病と親戚の夏風邪で

後で手足に発疹がでてくれば

手足口病になります。

と説明していました。

 

手足口病は、手足の裏や口内炎が主なにですが、

流行るエンテロウイルスのタイプによっては、

水疱瘡かとおもうほど、足全体、腰、体にまで

出てくるタイプもあります。

 

水痘は、顔や頭に出る。明日の裏、手のひらにでない。

手足口病は手のひらや、足の裏にでる。顔や頭にはほぼ出ない

ので、区別できます。

 

派手な、水疱などでたりすると、その後数ヶ月後が残ったりしますし、

爪がしばらくして変形してくることもあります。

 

熱が数日程度で、あまり高熱にならないことも多い。

 

口に派手に出ると、痛すぎて経口摂取が出来ず、

入院となってしまう児もいます。

 

エンテロという言葉はentero

腸内のという意味で、

手足、口に症状がでるウイルスですが、

腸管に感染し、

便にウイルスが排泄されます。

 

しかも、排泄される期間は1ヶ月程度と長く、

感染防御のための登園禁止は意味がないと考えられています。

 

熱や経口摂取不良などの症状がなくなり、

元気があれば、「感染力は続いても」登園可能なウイルスなのです。

 

 

○伝染性紅斑「発疹のみで全身状態が良ければ登校可能」

 

パルボウイルス感染症です。

 

ほっぺが赤くなることから、リンゴ病などと言われることもあり、

腕と足の外側に、レース状の紅斑ができることも特徴です。

 

診断がつく頃=ほっぺが赤くなる頃には、

感染力はほとんど失われています。

ほっぺが赤くなる前に、感染力が高い時期があるので、

感染予防は出来ません。

 

重要なことに

妊娠の前半期に、妊婦が感染すると

胎児水腫や流産の原因になります。

また、ごく稀に重症の溶血性貧血や血小板減少、好中球減少など

血液に重要な成分である血球が減少する病気を引き起こすことがあるので、

油断できないウイルスでもあります。

 

予防は、難しい。

治療法なし。

 

妊婦が、罹患した場合は胎児に注意です。

 

○マイコプラズマ感染症「急性期は出席停止。全身状態が良くなるまで」

マイコプラズマ感染症は

発熱、咳嗽が主な疾患です。

午前中は熱が下がりやすく、午後から熱が上がってきやすい病気です。

抗原検査があります。

咽頭ぬぐい液で検査する、タイプのキットは

感受性が低くイマイチ信頼度が低いです。

血液検査で行う、マイコプラズマPA検査もはっきり言って

信頼度はかなり低いです。

LAMP法と、PA法の検討

https://www.jscm.org/journal/full/02302/023020087.pdf

 

マイコプラズマ迅速検査キットは

メーカーによる差はあるものの、

LAMP法との同時検査を実際に行ってみると、

感受性がとても低く、使い物にならないぞ。

と、考えている先生が多くいます。

 

LAMP法は非常に有効な診断法ですが、

一般的なクリニックでは出来ないところがほとんどです。

 

まあ、でもベテランの小児科医の臨床的な診断でいい病気だと思います。

 

治療法は、

マクロライド系。小児ではアジスロマイシンが最もいいと思います。

クラリスロマイシンもよく使われます。

 

点滴がイマイチで、クリンダマイシンを使うこともありますが、

アジスロマイシンを頑張って飲むのが効果的と思います。

 

熱がなかなか下がらない場合

重症な肺炎の場合

ステロイドの点滴を併用するとスパッと下がって

軽快することもあります。

(賛否両論です。安易な使用はしない方がいいですが、、、、)

 

マクロライド系がイマイチ効かない場合は、

トスフロキサシン(ニューキノロン系)

ミノマイシン

が有効ですが、小児には避けることが多いです。

ミノマイシンは8歳未満は原則出さない(歯牙着色などによる)

 

元々自然治癒傾向が高いマイコプラズマ感染症。

 

入院するほどの重症化がなければ、

クラリスロマイシンやアジスロマイシンで対応出来ることがほとんどです。

 

迅速検査キットや血液検査はイマイチ信用出来ませんが、

ベテランの小児科医の診断、治療に任せれば大丈夫でしょう。

 

細かく、書きすぎてしまったので、

また次回へ続きます。