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これまでの記事

その1 発熱

その2 治療が必要な発熱

その3 下痢 嘔吐

その4 気管支喘息

その5 便秘

その6 学校伝染病の登園禁止期間

その7 学校伝染病の解説

 

今回は

前回は水痘まででしたので、

その続きです。

 

学校伝染病

感染症についての解説です。

 

○咽頭結膜熱「主症状が消失した後2日経過するまで」

プール熱=アデノウイルスによる「のどや結膜の感染症」です。

 

夏場に流行し、プールでうつりやすいことから

プール熱なんて言いますが、

今時、プールでタオルの共用などはほとんどしないため

プールでうつることはまれだろうと思います。

 

また、夏場だけでなく1年中お目にかかります。

 

アデノウイルスによる感染症の特長は、

熱が上がったり下がったりしやすい事です。

午前中は37度くらいだったのが、午後になり、夕方過ぎて子供が元気なくなってきて

また38度を超えてきた、、、

 

ということが度々、起こります。

 

病初期の1~2日くらいはずっと高熱であっても、

3~5日と経つと午前中などは熱が下がってきやすいです。

 

「特徴的な症状」

のどに白苔が付きやすい

結膜炎(白目が赤くなりやすい)

熱が上がったりさがったりしやすい

熱は長めで、7日間くらい続くこともある

 

その他、咳や鼻汁や下痢なども起こすことがあるウイルスです。

 

小児科医としては、

熱が長く続くからやっかい⇒熱が続くためアデノウイルスと診断しても不要な抗生剤を投与したくなる。

午前中は下がっていても、閉院の時間間際になってまた熱が上がってきたと受診してやっかい。

比較的、感染力が高く、兄弟間などでうつることがありやっかい

CRPは3~5くらいとやや上昇することがあるので、抗生剤を投与したくなるのでやっかい。

 

であるが、基本的には自然に治る病気で、(抗生剤が無効で効く薬がない)

長引いて脱水などになってくれば、点滴が必要。

長引く風邪の原因を調べるためにアデノウイルス検査行ったりします。

 

 

○髄膜炎菌性髄膜炎「医師が感染の恐れがないと認めるまで」

 

髄膜炎菌は、集団生活の場で流行することがある、厄介な菌の一つですが、

通常流行することはあまりありません。

 

高校男子寮における髄膜炎菌感染症の集団発生時に経験した劇症型敗血症の1死亡例 (niid.go.jp)

 

宮崎県高校寮内で集団発生が起こり1名が死亡しています。

 

メナクトラという髄膜炎菌ワクチンがあります。

1回23000円から25000円くらいする

高額なワクチンです。

侵襲性髄膜炎菌感染症を予防する筋肉注射のワクチンです。

 

興味のある方は、かかりつけ医の小児科の先生にいって

取り寄せてもらいましょう。

 

○結核「医師が感染の恐れがないと認めるまで」

 

結核は、過去の病気のように思われていますが、

日本は結核の中蔓延国です。

 

日本では毎年約18,000人が新たに発症!古くて新しい感染症、「結核」にご注意を! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)

 

毎年1900人も亡くなっています。

 

私が、小児科を学んでいた病院は結核病棟があり、

私自身、小児の結核診療に当たったことがあります。

例えば

○○大学に留学している、アジア系外国人とその友人家族が結核発症

 

日雇い労働者が行くような、サウナで結核患者に接して発症した。

 

東京都北区のHPより抜粋

中略

この要因を探るために、北区の新規登録患者を全国のそれと比較して詳しく分析すると、2000年の罹患率では20歳代と50歳代にピークが見られ、特に50歳代の罹患率は70歳代より高い数値を示している(図3)。
 また、社会経済的には患者は低所得者層に集積してきており、北区の2000年の新登録患者193人の中、ホームレスは12人を占め、そのうち2名が入院直後に結核により死亡している。このように重症化してから発見され、ようやく治療に乗っても死亡する例も後を絶たない。
 北区に特有の印刷下請け業では、終夜勤専門の日雇いというホームレスすれすれの労働者も多く、サウナやカプセルホテルで宿泊している単身男性も多い。ここ数年はこうした層からの結核の発生が続発し、そうした職場や宿泊場所を対象とした定期外検診がほとんど定期化してしまうような状況すらあった。この3年で定期外検診の実施人数は毎年倍々ゲームのように増え、現在は年間4,000人にもなってきている。

 

結核診療にあたる医師は、

どの地域、どこのサウナやカプセルホテルなどが危ない場所だと知っています。

東京、名古屋、大阪などの大都市に多いですが、

 

高蔓延国からの留学生

カンボジア、フィリピン、ベトナム、中国、インドネシア、 バングラディシュ、インド、タイ、ミャンマー、アフガニスタン、パキスタン、ジンバブエ、 南アフリカ、ケニア、タンザニア、ウガンダ、コンゴ民主共和国、エチオピア、モザンビーク、 ナイジェリア、ロシア、ブラジルです。

などは全国、あちこちにいます。

 

70歳以上の年齢の人は、すでに結核にかかった事がある人がほとんどです。

いったんは治癒したはずの結核菌が実は休眠状態で

死期が近づいたりして体がかなり弱ってくると

結核菌が再発してくることがあります。

 

そう思うと、身近に感じてきますよね?

 

結核は、過去の感染症ではないということです。

 

結核菌は、普通のマスクでは防げないほど大変小さい菌で、

空気感染します。

乳児が罹患すると、重症化しやすいため、

乳児の重症化予防がBCGというワクチンです。

 

5歳上になると、重症化はあまりしなくなるため

BCGを接種していない人はあえて接種する意味が少なくなります。

 

また、BCGを接種すると

ツベルクリン反応が陽転化します。

 

留学時は、トラベルクリニックなどで相談が必要になることがあります。

留学のための診断書における結核検査では,胸部X線検査のほかに結核菌の感染の有無を 免疫学的検査によって確認することが求められる場合が少なくない。ツベルクリン反応検査はイ ンターフェロンγ遊離検査と比べて安い費用で受検できるが,BCG接種の既往がある場合,判定 の信頼性は著しく低下する。BCGを接種されている学生では結核に未感染であっても検査結果は90% 以上が偽陽性になること,基準を調整して意図的に陰性と判定しても,留学先で接触者健康診断 の対象になって検査を受けると,感染していなくても95%以上が陽転するなどの問題点がある と推測された。

 

結核感染は防ぎようがあまりないですが、

日本にはない感染症とは思わない事です。

地域によっては危険な地域も点在しています。

 

治療

抗結核薬の多剤併用療法 を6か月~9か月

 

ちょっと、専門的な内容が含まれましたが、

学校伝染病第二種ついては以上で終了です。

 

第3種については次回で