こんにちは、訪問ありがとうございます。

 

小児科診療を離れて、4年は経ちますが、

 

発熱に続いて多いのは

 

「下痢、嘔吐」ですかね?!

 

下痢、嘔吐にについて考えてみます。

 

先ず、下痢、嘔吐っていうと、

 

「ノロウイルス」

「ロタウイルス」

「アデノウイルス」

が思い浮かびますね。

 

これらは、抗原キットもあり迅速検査ができます。

 

以前はノロウイルスが1位

2位がロタウイルスで、3位がアデノウイルスでしたが、

 

「ロタウイルスワクチンが普及して、

ロタウイルスは減ったかもしれませんね。」

 

ノロウイルスが、流行すると、

下痢と嘔吐の程度が軽くても、

「ノロウイルスになっているかどうか?」

が、保護者や、幼稚園などの先生が知りたくなります。

 

大人も感染すると、感染力が非常に強いからです。

 

ノロウイルスは感染力が強く、

少量のウイルス量で他人にうつり、潜伏期間は1日程度と短く、

嘔吐でもされると、その部屋にいる人が

うつってしまう恐れがあり、

大変厄介です。

 

保護者や幼稚園の先生は知らないかもしれませんが、

ノロウイルス検査の保険適応は

「3歳未満です」

3歳以上には保険が適応されません。

 

また、包括医療を採用している医院の場合は、

初診(6歳未満) 5990円

再診4060円

処方箋を交付すると

初診7160円

再診5240円

になります。

 

包括医療では、

検査しても、点滴しても、採血しても

一律料金のため

検査しないほど儲けが多く

検査したり点滴するほど儲けが減ります。

 

ノロウイルス検査キット代金は1000円くらいです。

(ロタウイルスやアデノはもう少し数百円安かったかも)

 

1000円くらいで嫌がりはしないでしょうけど、

同じ子に何度も検査するには嫌がります。

 

治療については、

ウイルス性胃腸炎に効く薬はありません。

 

抗生剤は、ウイルスに効果がないばかりか、

腸内には、人にとって必要な菌(善玉菌)もいますのが

抗生剤は、腸内細菌叢を見出しますので、治りが悪くなったり

下痢を助長する恐れがあり通常はだしません。

 

下痢止めは、ウイルスの排泄を遅らせるために通常出しません。

 

出すとすれば、

整腸剤とか、

嘔吐をへらす、吐き気どめの内服薬坐剤

漢方薬などです。

 

まあ、そう言った薬ははっきり言って、あまり効果がないため

小児科医が下痢、嘔吐で受診した場合に重要視するのは

点滴が必要な児かどうかの1点です。

 

先ず

吐き始めたり、経口摂取が減ってからの時間経過です。

2〜3日も続く→点滴?!

今現在は飲める→飲んで貰えば良い

今も飲めず、吐く→点滴っしょ。

 

飲んでも飲んでも吐くが初日の場合

→院内でOSー1など飲ませてもすぐ吐いた。

点滴を考慮しますが、

半日程度で吐き気がおさまる子もいるので、

点滴しても良いし半日、翌日まで様子みても良いと思います。

 

血糖値の低下により元気がない。

ケトン血清嘔吐症により吐き気が治らない

場合は、点滴しないとダメです。

 

尿検査でケトン値をcheckしたり

血糖値をcheckします。

糖尿病患者に使う、血液で血清ケトン血清値を

測定することも可能ですが500円かかります。

 

暇ならば点滴しても良いのですが、

点滴すると、1〜2時間程度かかるので、

閉院間際は困りますね。

 

胃腸炎の初期症状は、

まず、大抵の場合は「嘔吐から始まります」

下痢や腹痛は後から出てくることも多いです。

 

ただ、吐いているだけでじゃ胃腸炎を疑っても

便検査も時期尚早ですし、(下痢が出てから検査)

半日、1日様子見となるかもしれません。

 

痩せ型で、体に糖分の蓄えがない(肝臓にグリコーゲン少ない)児は、

自家中毒(アセトン血性嘔吐症)といって、

夕食を1食抜きだけで、ケトン値があがり、嘔吐を繰り返す児がいます

この場合は点滴で速やかに良くなります。

ご飯を抜いて、糖質が足りないとなりやすいので、

繰り返す児は、食事を抜くときはゼリー、ジュースなど糖質を取ることです。

 

急性腎盂腎炎で発熱、嘔吐したり、

頭部の異常(頭痛、髄膜炎、脳腫瘍、外傷、眼圧上昇)

など他の原因で嘔吐する子もいるので、要注意です。

 

ロタウイルスやアデノウイルスも潜伏期間などの違いはありますが、

ノロウイルスと相対差はありません。

 

では、食中毒についてです。

 

○黄色ぶどう球菌による食中毒

嘔吐、腹痛、下痢を起こします

手などに常在しているブドウ球菌は、

おにぎりを素手で握ると、おにぎりに付着したりします。

それらが毒素を産生するので、食べて数時間後には嘔吐し始めます。

毒素型であり、抗生剤は不要です。

おにぎりを汚い手で握って、暑い夏などは菌が増えやすく要注意でしょう。

 

○サルモネラ菌

発熱、下痢、嘔吐を起こします

犬、猫、カメ、鶏卵などにいます。

 

殻が割れていた卵、家で飼っている鶏の卵、日にちが立っている卵の生食などは

要注意です。

 

サルモネラによる食中毒は、

ひどくなければ、原則抗生剤も不要です。

抗生剤で、腸内細菌叢にバランスを崩すと余計に治りが悪くなるからです。

ただし、サルモネラによる菌血症もしばしな経験しますので、

抗生剤が絶対に不要ということはありません。

状況によっては使用します。

 

○カンピロバクター

発熱、下痢、嘔吐を起こします

これは、地域の食生活によって、発生頻度が違います。

 

鶏肉も生食

つまり

鶏ののたたき

鶏刺し

をたべる地域は要注意です。

 

子供は少ない菌量で発症します。

 

安易にあげないで下さい。

 

子供の場合はしっかり治療することが無難です。

クラリスやジスロマックといったマクロライド系抗生剤が

一般的です。

 

後遺症も知られています。

数週間たってから、1~2%の患者に、手足の麻痺や顔面神経の麻痺、呼吸困難などの「ギラン・バレー症候群」を起こすことがあります。菌体を攻撃する免疫物質による神経組織傷害が原因と言われています。症状が非常に重篤になる方もあり、呼吸筋麻痺で死亡、下肢の麻痺などの後遺症を残す場合もあります。

 

鶏肉の生食は危険だから子供にはやめて下さいということです。

 

○病原性大腸菌

腸管出血性大腸菌(O157)

原因となる食品を食べてから、およそ、3~8日程度の比較的長い時間を経て発症します。

 

腹痛、下痢(水様便その後血便になることあり)などを起こします。また、症状が出てから数%の患者が、2週間以内に溶血性尿毒症症候群(略してHUS)を起こして、重症化する場合や死亡例もあります。3類感染症に該当し、診察した医師は行政に届出義務があります。保菌状態となる場合もあり、検便から検出された場合は陰性が確認できるまで調理に従事することはできません。

 

まあ、皆さんもご存知の通り危険なやつですね。

 

焼肉やBBQで

生肉を掴んだ箸で焼いたり、焼けたものを取るなどすると、

その箸に菌がついて、焼けた肉を触ると菌がつくので、

生肉の取り箸ー焼く箸

焼けた肉を取る箸

は必ず分けましょう。

 

ハンバーグも中心まで火をしっかりと押してくださいね。

 

○病原性大腸菌

汚染された肉などを加熱不十分で食べると発症します。

発熱、下痢などです。

1週間以内に焼肉、BBQなどしていれば怪しいです。

 

抗生剤は必ずしも治りを早くしないので、

ケースバイケースです。

自然と回復することが多いです。

 

長男くんと次男くんの話です。

 

私が小児科医をしていた頃の話です。

 

旅行に行った時に、

夜の食事を居酒屋で取ることにしました。

 

繁華街だったので、たくさんの店があったのですが、

週末で混んでいました。

 

何件か入るもいっぱいで、

少し離れたところにある、

ちょっと汚い居酒屋に入りました。

 

そこでお酒飲んで、焼き鳥とか

生物などは注文しませんでした。

もしかしたら、サラダを頼んでいたかもしれません。

 

数日すると長男くんと次男くんが腹痛、下痢、発熱

を同時にしました。

 

あれ?!おかしいと思い、

便培養すると、

カンピロバクターが検出されました。

 

汚い居酒屋で感染したのだと思います。

 

多分、汚い居酒屋が、

鳥刺しや鳥のたたきを作ったまな板が汚染されていて

そこで調理した料理を持ってきたので

感染したのだと思います。

 

それしか、感染原因が考えられないので

幸い、何事もなかったですが、

汚い居酒屋に入るのは2度とやめようと思いました。

 

地元民が来ていそうで、

食べたものは美味しかったのですが、

衛生管理ができていないのでしょう。

 

このように、

生肉を摂取していなくても、

汚染された調理器具を介してうつることもあるので

注意が必要です。