こんにちは、訪問ありがとうございます。

 

前回の続きです。

 

「治療が必要な発熱はどう見分けるか?」

 

小児科医は、風邪の症状の児を診察するときに、

第一に感染症を考えて、

感染forcusを考えます。

(発熱時の90%以上を占めます)

どこが原因で、熱が出ているか?!

 

を先ずは考えます。

 

その時に、

 

鼻水、咳はあれば、

気道感染症

上気道(鼻からで喉まで)なら、それは風邪

下気道(肺、気管支)なら、それは風邪ではない

 

をまずは疑います。

 

口を開けてもらい、咽頭や扁桃腺の様子をみて、

上気道感染症のうち、治療が必要な溶連菌かどうかを素早く見極めます。

 

気道感染症では、

簡単に言えば、

○溶連菌感染症

○急性肺炎、急性気管炎

であれば、抗生剤を投与が必要になります。

(ウイルス性肺炎、ウイルス性気管支炎であれば、

必ずしも抗生剤投与は必要ありません。)

 

下気道感染症かどうかは、

聴診して音で確かめたり、

呼吸数が多い、陥没呼吸をするなどで推測し

レントゲン写真を撮ったりして確かめます。

 

後鼻漏や鼻汁があると、中耳炎を合併する場合があり、

耳も見ます。

 

中耳炎であれば、

日本の急性中耳炎ガイドラインでは

抗生剤投与となっていますが、

海外では抗生剤を投与してもしなくても治りに影響はない

と大規模な研究結果がでており中耳炎=抗生剤が必要というわけではありません。

 

私は鼓膜が破れそうなほど膨隆する場合や、

緑の耳垂れが溢れて、鼓膜が観察できないような場合は

耳鼻科受診を勧めていました。

 

中耳炎でも抗生剤を投与する場合に、

オゼックスや、オラぺネムといった、

最強の抗生剤をいきなり投与するのは、

ダメな小児科や耳鼻科です。

 

ペニシリン系やクラリス程度から始めればたいていは十分です。

 

気道と耳を見て、症状に乏しいと

どこから、熱が出ているのか?

をもっと考えなくてはいけません。

 

尿路感染症?→尿検査

川崎病→発疹や頚部リンパ節がはれていないか?

 

などもありますが、

発熱して1〜2日は風邪の症状が出そろいませんので、

そう言う場合は、「様子見です」

 

例えば、

尿路感染症や川崎病があっても、初日の発熱からはわからないものです。

インフルエンザウイルス

手足口病

その他の風邪

も、最初の1〜2日くらいは、熱のみで他の症状が

乏しい場合は結構ありますので

初日の熱なんて、なんだかよくわからないことは

当たり前です。

 

小児科医は、

初日の熱で、元気そうであれば、

これは、もう少し様子見でいいなと

解熱剤くらい処方するくらいで十分なのです。

 

ダメな小児科ほど、

出てもいない咳止めを、鼻水止めといった

風邪薬や

不要な抗生剤なんかをいきなり出してきます。

 

熱だけで元気あれば、2日経ってもまた熱があれば受診して見せてください。

咳や鼻など他の症状がでてくればまた見せてくださいで良いのです。

 

手足口病も熱が出て翌日にアフタなどが出てくる場合もありますし、

感染forcusがわからないまま、

むやみやたらに抗生剤を出したりせずに

1〜2日様子見ればいいのです。

 

「熱出て初日に、正しい診断をすることは無理なのです。」

 

3~4日も熱が続けば、

私も,もうちょっと考えなくてはいけません。

 

アデノウイルス検査したり

溶連菌検査したり

採血して、WBCやCRPの上昇がないかを見ます。

 

たとえば、

WBC20000以上であれば、異常所見です。

細菌感染症で上昇することもあれば、

ストレスによって、コルチゾールが体内で産生されれば、

白血球は増えます。

 

これは、おかしいぞと考えられるのです。

 

CRPが高ければ、すぐにそれが細菌感染症というわけではありませんが、

 

尿路感染症を否定するために尿検査したり、

肺炎がないか胸部Xpをとったり、

川崎病の診断基準をみたすかどうかを考えたりします。

 

川崎病

4歳以下の乳幼児に多く、全身の血管に炎症がおきていろいろな症状が出ます。

高熱(5日以上続く)

両側の眼球結膜(目の白いところ)の充血

真っ赤な唇と苺のようにブツブツの舌

体の発赤疹、手足の腫れ

首のリンパ節の腫れ

6つの症状のうち5つ以上の症状があれば川崎病と診断します。

小さなお子さんではBCGを注射した場所が紅く腫れ上がることも、特徴的な症状の1つです。

 

そういった治療すべき疾患がみあたらなければ、

風邪でも7日程度持続する場合があり、

点滴や採血などをしながら、慎重に経過を観察します。

 

熱が続くと言っても、

夜に高熱、午前中なぢは一旦、平熱ということもあります。

小児科へ行くと熱がなくて、

下がったね。風邪だったね、なんて言われて

帰ると午後や夜になって再び熱が上がる。

 

これも風邪では多いパターンです。

アデノウイルスはこのパターンが5〜7日と結構続く場合も

ありますし、マイコプラズマ、その他の風邪のウイルスでも

そう言ってダラダラすることがあります。

ほとんどの場合は、心配いりません。

 

10日以上こえて、若年性リウマチだった。

ウイルス性髄膜炎だった

なんてこともあり得るはあり得るけど、

ほとんどそう言うことはありません。

 

☆歩行がおかしい

を合併すれば、

化膿性股関節炎っだり

風邪のウイルスが脳に影響し、小脳炎などを併発してくることもあります。

⇒MRIを取ったりしないとなかなかわかりませんが、

足を引きずる、ふらふらしてたてない何てことが

あれば、それは、滅多にないことなので

きちんとみてもらいましょう。

 

あまりにも熱が持続し、WBC、CRP上昇し

元気もない場合は、細菌性髄膜炎や、敗血症などを疑い

血液培養、腰椎穿刺などをすることもあります。

ここまでいくと、町のクリニックでは無理です。

 

原因不明の発熱を繰り返し、

熱源などを考えずに、抗生剤を繰り返していると、

実は、紹介状を持ってきた児を良く調べたら

肺がんや縦郭悪性リンパ腫があり、胸部Xpで異常がみつかった

などということもあります。

 

前回のPFAPAは、

1ヶ月ごとに咽頭炎を繰り返す場合に

ちょっと疑って、

1回分のステロイドを飲ませたら、

すぐ熱が引いた。

なんてことになり、翌月以降も同様なことが

あれば、診断をつけることができます。

 

生体の恒常性が崩れると熱が出ます。

脱水、

心不全

心筋炎(風邪のウイルスが引き起こす)

など、熱=感染症だけではありません。

これらは、風邪の症状があると、熱の原因を特定することは

難しくなります。

 

まとめると

急性肺炎、急性気管支などは適切な抗生剤投与が必要

尿路感染症は、多くは入院にて抗生剤の点滴が必要になる

川崎病は入院してガンマグロブリン投与が必要

その他の重症感染症も抗生剤投与が必要

自己免疫性疾患や悪性腫瘍などは、

治療が良くならず、精査してようやくわかった。ということに多くはなります。

 

ほとんどの場合は感染症である発熱ですが、

感染症でない場合もまれにあります。

 

熱があれば、抗生剤や風邪薬といった薬で誤魔化すのではなく、

どこから熱が出ているか?

をしっかり考える必要があるのです。

 

長男くんの話です。

妻が切迫早産で入院して、

病院内の保育園に通園することになった

長男くんは、

熱が出たり入ったり、咳が出て、鼻汁もでて

4日も高熱が続きました。

 

妻がいないため、

ご飯の用意から、お風呂いれる

寝かしつけるなど大変でした。

 

熱が出ても病児保育が院内にあるので

そこで日中は見てもらえます。

日中は高熱ではなく微熱で比較的元気なので

ほっといたら、4日目の夜も高熱で

ふと、聴診してみたら、

肺炎の音が入ってました。

 

がーん!

元気そうだからほっといたら、

長男くん肺炎だわ!

 

金曜日の夜でしたが、

勤務先の救急外来へ連れて行き、

自分で採血、点滴して、レントゲン写真をオーダーして

みると、結局マイコプラズマ肺炎でした。

 

すぐにジスロマックを処方して飲ませようとすると、

苦くて飲まないんだよね、、、

 

夜間救急で、他の医師や看護師に迷惑をかけている訳ではないけど、

いつまでもそこに入れないから、

鼻から胃へ、チューブを挿入して

薬を流し込もうとしましたが、

辛そうなのは長男くんをみて、

そこまでするにはやめておこうと、

入っている点滴から抗生剤を入れることにしたのです。

 

土日の分の抗生剤と、点滴を一旦中止するヘパロック

点滴が万一抜けてしまった場合に、再挿入する点滴一式を

救急外来から拝借して、その夜は帰りました。

 

翌朝、長男くん(4歳)より早く起きて点滴を繋いでると

起き出しました。

点滴をハンガーにつって、

壁にかけておいたら動くんだよね。

 

そしたら、点滴を持っていちいち長男くんの後を

追っていかないといけません。

 

安心してテレビ見たりゲームをしてられません。

1時間ほどかかる点滴なので、

しばらくついて回ってましたが、

面倒になり、

車に乗せて、チャイルドシートにくくりつければ

大丈夫かも?

 

ということで、車に乗せて、

ハンガーを取っ手にかけてみると点滴はきちんど流れています。

そのまま30分はドライブして点滴が終わる頃に家に戻りました。

ヘパロックして、夜に備えます。

 

ジスロマックなら3回飲めばいいので、

昼間に再挑戦です。

 

普通にスプーンに少し乗せて

あげてみると、最初の一口は口を開けて飲んで(食べて)

くれましたが、

苦いので、

二口目からは拒否です。

 

飲んでくれそうにないので、

スーパーでアイスクリームを買ってきました。

 

アイスを一口あげると食べます。

アイスに薬を少し載せてあげると

食べてくれました。

苦い顔をしてます。

もう一口あげようとすると、

嫌がり口を開けてくれません。

 

仕方なしにアイスだけにして口につけたら

苦くないので食べます。

 

また薬を少しのせてあげると、

警戒してすこし口開けて

苦いと思うともう嫌がります。

 

マジで、飲まんのだけど、、、

 

薬局で

お薬飲めたねも買ってきても飲みません。

 

ジスロマック、苦いと評判だけど、

やっぱ飲まん子は飲まんわ〜ガーン

 

夜は寝てから点滴しました。

そんなこんなで、土日のうちに熱が出なくなり、

点滴は土日のだけにして、元気に良くなりました。

 

ほんと、勘弁だわ〜

 

と思いました。

 

入院しているお母さんの気持ちが少しだけわかりました。

薬や点滴を出しておくだけの

医者って、簡単だけど、

それを実行してくれる

お母さんは大変だなと勉強になりました。