こんにちは、訪問ありがとうございます。
今回は他の先生の発表を紹介します。
神戸大学大学院医学研究科小児科学分野
こども急性疾患学部門
池田 真理子先生が書かれて、
インタネット上に公表しているのが下記のPDFです。
https://www.med.kobe-u.ac.jp/pediat/pdf/ikeda9.pdf
前回の内容は
Fever は「発熱」
phobiaは「恐怖症」
についてでした。
今回は風邪の症状で厄介な咳についてです。
咳でも、受診が必要な咳についてはこちらを参照にしてください。
「咳は何のために出るの?」
⚫︎空気の出入りを良くするために咳をします。
⚫︎喘息(ぜんそく)のとき
⚫︎痰(たん)をだすため
これらは体の防衛のために必要な反応です
⚫︎夜は咳が出やすくなります(クループも夜悪化)
⚫︎夜や早朝、または気圧が下がるときは 空気の通り道が狭く、細くなります •
⚫︎新生児では咳の反射が弱く咳が 出にくいようです
諸外国のイマドキのおくすり事情
⚫︎風邪症候群に対して、
2才以下の咳止め入り 風邪薬は使用を中止、
6歳以下でも原則として 使用しないよう警告しています。
⚫︎痰(たん)の出ている子に対しては原則的に 咳止めを使いません。
⚫︎痰切り薬の製造、輸入を廃止した国もあります。
⚫︎咳止め薬を眠り薬として使用してはならないと明記 されるようになりました。
日本でも、数年のうちに、咳止めがあまり 使われなくなる日がくるかもしれません・・・
では、咳止めを使ってもよい場合は?
⚫︎夜の睡眠が妨げられるほどの咳はよくありません。
医師に相談して処方してもらいましょう。
⚫︎咳の原因がぜんそくである場合は、
市販の咳止めは 効きません。
医師に相談してぜんそく用のお薬を 処方してもらいましょう。
⚫︎咳止めは長期間のむお薬ではありません。
咳が止まったら速やかに中止しましょう。
水分をこまめに取ること、部屋の湿度を保つこと、
うがい、手洗いをして予防すること、
タバコの煙から こどもを守ることなど、環境整備も大切です。
せきどめについて
⚫︎最近日本でも、小さいお子さんの「かぜ症候群」 には咳止めをださなくなりつつあります。
市販薬の飲みすぎには注意しましょう。
⚫︎症状をやわらげるお薬ですから、
効かなければ 2日を目安に中止してもよいでしょう。
⚫︎ぜんそくに対しては、普段からの予防がとても 大切です。
抗ぜんそく薬は、喘息には有効です。
医師の指示のもと正しく服用しましょう。
⚫︎日本で特に汎用されている貼り薬は心臓に対する副作用があります。
不要な使用は避けま しょう。
⚫︎こまめに水分を取りしっかり睡眠をとりましょう
日本人は薬好き?
⚫︎世界中で売られている薬の約3割を日本人が消費してい ることをご存知ですか?
⚫︎そのほとんどの薬は海外の製薬会社が製造しているこ とをご存知ですか?
(しかも!医薬部外品であるお薬も 、日本では高い薬程よく売れる)
⚫︎すべての薬に副作用があることをご存知ですか?
⚫︎こどもの風邪薬やある種の咳止めを服用すると寿命が 短くなった、
という統計が出ていることをご存知ですか?
咳止めテープ?
⚫︎日本で開発され圧倒的人気を誇る「貼る咳止め」 これは本当に咳止めなのでしょうか?
⚫︎→ 違います。
⚫︎この薬は気管支を拡張するぜんそく薬で、
痰のか らんだ咳や風邪症候群の咳に対する効果は実証 されていません。
⚫︎知っていますか?この薬は心臓をたたく薬です。
「しんどい」と言えないお子さんは貼られたテープ で「どきどき」しているかもしれません!
⚫︎テープを貼ってから「興奮」「不眠」「不機嫌」があ れば副作用を疑ってください!
鼻水止め?
⚫︎市販薬や開業医さんでよく処方される鼻水を 止めるお薬。
⚫︎鼻は止めて良いのでしょうか?
⚫︎→ ダメです。
⚫︎副鼻腔炎や中耳炎の原因になります。
⚫︎喉が渇くという副作用を期待して子供に飲ま せることがありますが、脳に作用する薬だと いうことを知っていますか?
⚫︎痙攣を誘発する可能性が指摘されていること を知っていますか? けい
けいれんと鼻炎のおくすり
⚫︎熱性けいれんを起こした患者さんで
市販の風邪薬のシ ロップや鼻の薬(抗ヒスタミン剤)を飲んでいた場合、
飲んでいなかった場合と比べて
発熱してからけいれんが起 きる時間が短くけいれん時間が長かった、
という報告が あります。
⚫︎鼻水を止める薬は眠気やのどの乾きを誘発するなど
脳に移行する副作用があります。
ほとんどの市販の小児 用風邪薬にこの成分が入っています。
けいれんを誘発し やすいことは、実はあまり知られていません。
ひきつけを おこす可能性のあるおこさんでは注意が必要です。
さいごに
⚫︎ほとんどの小児の外来受診の理由は「風邪症候 群」で、
症状をやわらげるために処方されます。
⚫︎おくすりを上手に使うことで、つらい熱や咳による
苦痛を和らげてあげることがたいせつですが、薬に頼りすぎないようにしましょう。
⚫︎小児、特に乳幼児では副作用が出やすいことに注意して、
薬の多用は避け、なるべくお子さんの 回復力や免疫力を高める環境作りをしましょう。
ご清聴ありがとうございました。
やはり ご家族の愛情がこどもさんへの 最高のお薬です
以上が
神戸大学大学院医学研究科小児科学分野
こども急性疾患学部門
池田 真理子先生が書かれた内容です。
私がこれまで何度か記事にしていた事と同様ですね。
鼻水止めの記事
咳止めの記事
どうして、治療効果がない薬を医師が処方するかは、
○風邪薬が不要だと説明するのがめんどくさい
○風邪の風邪薬を出さないと、出す薬がない
→薬をださないと診療した気にならない(医師も患者さんサイドも)
○かぜ薬を出しとくねが1番簡単な診療の終わらせ方だから。
ようは、説明を省いて早く帰ってもらうために
不要な薬をだしている訳です。
どうして、そんなことが言えるかっていうと、
小児科医をしていた頃の私は毎日、そうしていたからです。
コロナウイルスが流行している
地域では軽症者は自宅療養なんていっていますね。
軽症者には
医療機関へ受診すらさせず、
風邪薬も処方する必要がないので、出さない場合もあるようです。
医療機関に受診するだけで、周囲に感染させる恐れもありますしね。
抗生剤や風邪薬を処方しても、有益性はないからです。
過剰な免疫を抑えるステロイドを処方する場合はあるようですが。
そういったこともあり
ウイルスによる風邪には、風邪薬や抗生剤は不要ということが
認知されてきているのかもしれないですね。
こどもたちはの、小児科受診が不要とは思っていません。
風邪なのか、そうではないのか、診断してもらう必要はあるでしょう。
ただし、
風邪で受診した時にもらう風邪薬は有用かというと
そうでもないよ。
ということです。