こんにちは、訪問ありがとうございます。

 

今回は、落武者となった、身なりの良いサラリーマンの話です。

 

私が以前、大きな病院で小児科医として、勤務していた時のことです。

私をかかりつけ医にしている幼稚園児の可愛い女の子が、

顔が腫れて、熱がでて受診しました。

顎の下から耳の下にかけて腫れます。

 

似たようなものに、

ムンプスウイルスが原因ではない、

反復性耳下腺炎というのもあります。

 

この子は、症状もかるく、

臨床的におたふく風邪と診断しました。

 

臨床診断では、

ムンプスウイルス以外で起こる、

反復性耳下腺炎や、他のウイルスによる耳下腺炎を

誤診する場合もあり、

ムンプスIgMを測定していくと間違いありません。

ただし、この検査は数日かかるため、

すぐに診断をつけるためには適しません。

 

この子の付き添いのお父様が、

ダンディな方で、

イメージとしては

髪を束ねた又吉さんのような感じです。

 

2週後くらいに、私が救急当番をしていると、

なにやら、大人が1人とてもグッタリして

ベッドで運び込まれていた。


みると

熱が出て苦しいのかお風呂にも入れていないのでしょう。

髪がボサボサで、

 

落武者っぽい人がぐったりしている。

 

 

イメージとしては、こんな感じ。

 

 

私は誰かわからず、なんかすごいインパクトがある人が来たなと

思っていたら、

内科医の先生が、

私に声をかけてきて、

ゆうくん先生にこの子の娘さんが

おたふくでかかっていたらしいのですが、、、

と私に声をかけてきた。

 

落武者さんを診察すると

顎下腺〜耳下腺部にかけて、腫脹しており、

後部硬直も軽く認める。

首を振ると、頭痛が増すとのこと。

 

ジョルトサイン(Jolt accentuation)陽性だ。

「1秒間に2~3回の早さで頭部を水平に振ると頭痛が悪化する所見のことである。」

ちなみに精巣も少し腫れて痛いといっている。

これは、髄膜炎を示唆します。

 

小児科医にとっては、

おたふく風邪が流行すると、

無菌性髄膜炎はありふれた疾患で、

珍しくはありません。

 

多分、おたふく風邪による無菌性髄膜炎だと思います。

と、

私は大人の主治医にはならないため、

内科医の先生にお願いした。

 

また、それより以前、

研修医2年目の時の話だ。

 

研修医は子供でも大人でも見ますが、

30歳くらいの男性が発熱、陰嚢痛で受診した。

 

1年目の研修医がまず診ていて、

私に、ゆうくん先生、

急性陰嚢症が来ました!

と初めて見てるので、興奮気味で私のところに来た。

 

見たことがないくらいに、

片方の金玉が腫れていて、

通常の3〜5倍くらいになっている

とのこと。

 

おお、マジか!

そんなの見た事ないよガーン

 

急性陰嚢症では、陰嚢が捻転などしていると、

すぐに解除してあげないと、

片方の精巣がダメになってしまう、とても重要な疾患だ。

時間との勝負だし、すぐ泌尿器科医を呼ばなくてはいけない。

 

私がいつも通り、診察すると、

首から顎下にかけて、圧痛と軽度の腫脹あり。

おたふくも考えられたため、

子供がおたふくにしばらく前にかかっていないかを聞いたら、

なっていたといっている。

おたふく風邪でも、精巣炎になると習ってはいるが、

これほど腫れるなんて、聞いた事ないし、

急性陰嚢症も否定はできない。

おたふくの時に調べる、

アミラーゼやムンプスIgMなどの検査を出し、

日曜日でちょうど夜勤に引き継ぎの時間だったため、

泌尿器科医を呼んだことと、

おたふくの疑いもあるために、

採血もしている話して引き継いだ。

 

翌日行ってみると、やはりおたふくによる

精巣炎と診断され、何もせず経過観察入院となっていました。

 

どうしてかは、わかりませんが、

おたふく風邪は、子供のうちに罹患すると軽くすみやすく、

成人になると重症化しやすい。

 

10歳までには、予防接種をして、免疫をつけておきましょうなどと、

言われています。

 

また、

おたふく風邪に自然になることで、

難聴になってしまうことがあり、

ムンプス難聴なんていっています。

 

おたふく風邪により、

毎年100名以上も

難聴に待っているみたいです。

 

ムンプス難聴大規模全国調査(日本耳鼻咽喉科学会)

http://vaccine-kyogikai.umin.jp/pdf/170905_Mumps-hearing-loss_large-scale-national-survey-report.pdf

 

おたふくは、大人になってかかるとやばい。

今は、おたふく風邪が予防接種が普及し

流行しなくなってきています。

 

予防接種をきちんと受けて、

大人になって酷い目に遭わないようにしましょうね。