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〇乳児用ベッドからの転落について

 

柵から頭が1つ出てしまう児がよじ登ろうとすると、

頭から下に転落する可能性があります。

 

育児用品は,

足がかかる位置からの柵上部までの高さが50cm以上

となる構造にしないと転落が発生する.

と言われています。

 

事故例

本児(11か月)の体重は9kg、身長は73cm.

発達段階は伝い歩きができる状態で、

抱っこすると上に上にのぼろうとする発達状態であった.

急に泣き声がしたので、周囲の人が和室に行ってみると

ベッドの中にいたはずの子どもが

和室の畳の上に倒れて泣いていた.

ベッドの柵の上段からは児の頭が完全に出るくらいであり、柵の下段10cm程度のところには足かかりがあった。

 

この例では,柵の横棒をベッドの平面と同じ高さか,

平面以下に設置して,

柵の上部までの距離を50cm以上確保する必要があった.

 

「1歳前後の児を想定すればベッド柵は、

床ではなく足かかりから、柵上部までは

最低50cm以上確保して下さい」この方が転落防止になります。

 

子供は日々成長するので、つかまり立ちのしぐさを取るくらいからベッドの高さや柵の高さを調節できるものはしましょう。

 

私が救急外来で対応した例では、台所で料理をする際にお顔が、見えるようにと考えてテーブルの上

バンボという椅子をおいて児を座らせていました。

 

これまでにバンボから1度も這い出たことはなかったのですが、

その日はバンボから這い出て頭から床に落ちて受診しました。

頭蓋骨に骨折は認めませんでしたが、

少量の脳出血をみとめ入院となりました。

 

バンボから落ちたという例は何例も経験があります。

必ず床に置いて使いましょう。

 

老人は昨日出来たことができなくなるので、

事故がおこりますが、

子供は昨日出来なかった事が、

出来るようになるので事故が起こります。

 

発達状態も考えて

「目を離してもよい環境作りをしていきましょう。」

 

常に注意しているのは無理ならば、注意しなくても良い環境を作れば安全は確保されます。

 

びっくりして誤嚥に至った例

事故例 

3歳9か月の児が口の中にスーパーボールを2つ入れて遊んでいた.たまたま気づいた母親が

「危ないのでボールを口から出しなさい」と叱ったところ、

驚いて2つのうちの1つを吸い込み窒息状態となった.

 

事故例

2歳児が苺を模した木製玩具(中心部の直径:3.5cm)の先端部分をふざけて口腔内へ入れ、母親に見せにきた。

母親はいつもすぐに出すように注意していたが、

当日はいつになく厳しい口調で叱ったためか、

ムキになった児は頑なに口を閉じ誤嚥に至った。

母親が口腔内から搔き出そうとしたが奥へ陥入し、

すぐに背部叩打法を行っても摘出できず、母親が119 番通報を行った。

すぐに出すことが出来なかった児の運命は、

 

窒息死か、脳死状態で寝たきりになります!

 

用語説明;誤飲(ごいん)は飲み込んだものが、

食道や胃に入ること。

のみこんだ物質に毒性がなければ大したことにはなりません。

 

誤嚥(ごえん)とは、飲み込んだものが、

空気の通り道である気道に入り込んだものです。

空気が吸えなくなれば数分で命を落としますし、

そこまでいかなくても肺炎などの原因となり

誤飲と比べて格段に危険です。

 

頭を下にする姿勢をとらせ、

すぐに背中を叩きだす努力をしましょう。

またすぐに救急車を呼んだ方が良いです。

口の中にものを入れている児に急に叱りつけたり、

大きな声をだすのは危険です。

そういった場合はいつもよりやさしく言って聞かせましょう。

親が驚いて大きな声を出せば子供もびっくりして飲み込んでしまったりするリスクが増します。

 

もちろんびっくりしなくても誤嚥、誤飲に至った例はたくさんあります。

転ぶ、走るという動作も誤嚥・誤飲につながりやすいです。

 

窒息時の応急方法はこちらをご覧ください

cc03.pdf (umin.jp) 日本小児呼吸器学会監修

 

また、次回へ続きます