こんにちは、訪問ありがとうございます。

 

研修医〜小児科医として学んだ貴重な症例を残しておきます。

 

5〜10年以上前のことなのでやや曖昧です

 

⑦痙攣重積できた中学生は、、、

 

救急隊からの電話で、女子中学生が痙攣発作で、まだ止まっていないが受け入れ可能か

と一報があった。

 

小児科医として2年目くらいで、まだ内心怖い気がしましたが受け入れることにしました。

まだ、皆がいる時間で、何かあっても大丈夫と思った。

 

セルシンという静脈注射を準備し

ノーベルバールも準備しておいた。

救急隊がくるの待った。

 

救急搬送されるまでずっと

痙攣がまだ止まっていないことは、

重症である事を意味し、

滅多にそういう児はこない。

到着後すぐに静脈路を確保して、セルシンを投与した。

すぐには止まらず、

そのままノーベルバールの持続投与を開始して、

採血、頭部CTを行いました。

 

幸い、痙攣は数分程度で止まり、

頭部CTを取ると脳出血を起こしていた。

 

採血結果が出ると、血小板が数千しかなく、

WBCは10万程度まで増加し、白血病であることが示唆された。

 

母親に話を聞くと数週間前から、腕などに出血斑があり

近くの内科を受診したら、

心配であれば大きな病院で検査してもらった方がいいと言われ、

そのままにしていたとのことだった。

 

その女子中学生は大学病院へ、すぐ搬送されたが、

数日後に救命できなかった。

と連絡が入りました。

 

紫斑を認めた段階で血小板を調べておけば、

白血球増加や血小板減少がすぐにわかり、

脳出血を起こす前の段階で白血病に気づけたはずです。

 

近所の内科医だって、採血くらいできるし、

紹介状も書かず、

心配なら大きな病院へ行ってみてなんて、

無責任なことを言って

済ませたものだから、救命できない状態になってしまったのです。

 

とても残念な気持ちになりましたし、

そういういい加減な医師に診られた事が、

大変不幸だったなと思いました。

 

特発性血小板減少症=ITPは

血小板が下がり、

出血が起きやすくなり、血が止まりにくくなります。

○内出血のアザが出来やすくなり、いくつもぶつけた覚えがないのにあったり

 

○点状出血斑といい、細かい赤い平たい湿疹ができやすくなります。

 

 

血小板が下がる病気のうち、

他の原因がない(骨髄が正常など白血病などではない)ものをITPといいます、

実際は、骨髄生検まではしない事が多いですが、

紫斑をみたら、すぐITPだ、血小板数が正常だから、lgA血管炎や単純性血管炎だというのは

間違いなのです。

 

上記の写真の紫斑はでたら、

すぐに重大な病気ということは少ないのですが、

きちんと病院で診てもらう事が必要だと思います。

 

⑧口渇、多飲、多尿の子供は、どんな病気?

乳児なのに、1〜2Lも1日に水分を飲んでしまう事があります。

尿もやたらとでます。

 

薄い尿か、濃い尿か、糖が含まれるかなど、

まずはすぐ出来る尿検査をします。

 

最も頻度が高いのは、心因性多飲、多尿です。

口が寂しい乳児に、

哺乳瓶にお茶や、乳児用飲料水をいれて、乳児に渡しておくと

どんどん飲んでしまう子がいます。

尿崩症か調べるために入院させたところ、

ベッドに2Lのペットボトルを何本も置いて、哺乳瓶になくなってはいれと、

なくなってはいれとしていました。

それを渡して大人しくさせて、母親はずっとスマホをいじっておりました。

飲ませるのをやめさせたら、ぴたりと尿が止まり、単なる飲ませすぎとわかりました。

 

実は若い保護者では、結構これをやっていたりします。

飲ませていると大人しいからと、哺乳瓶にお茶などを入れてベッドに転がしておき、

4ヶ月くらいの乳児が上手に手を添えて吸い付いている光景は、

世も末だな〜と思いました。

 

小さい乳幼児、若い保護者といえば、ほとんどが心因性多飲、多尿です。

 

しかし、安易に水分摂取をやめさせると危険です。

 

脳腫瘍による尿崩症も1例、他の先生が見つけてました。

尿崩症の診断のための検査として、

入院させて尿量、電解質を測定しながら、水分制限します。

水分制限しているのに、尿が出続ければ尿崩症です。

数時間で脱水になり、電解質異常を引き起こし、発熱もしてきます。

 

これを一度でも経験すると、

心因性多飲が疑われる児に対しても、

安易に1日水分をあまりあげないようにしてみてとは、言えなくなります。

 

他の先生の担当する児は

水分制限試験の結果、尿崩症と診断され、脳腫瘍が見つかりました。

 

(ちなみに、家族性の腎性尿崩症の一家も、同時期に、他の先生がfollowしていました。)

 

一型糖尿病でも、同様な訴えが起きてきますが、

それは次回にします。