こんにちは、訪問ありがとうございます。

 

研修医〜小児科医として学んだ貴重な症例を残しておきます。

 

5〜10年以上前のことなのでやや曖昧です

 

④肝芽腫の3歳児

 

この症例は、大変思い出深い症例です。

 

私が研修医を終えて、小児科医が沢山いる、

小児科に力を入れている病院へ勤務先を移動し、

小児科医1年目(医師3年目)の3ヶ月の外来のことでした。

 

お腹を痛がると来院した3歳男児でしたが、3日前くらいと2週間前くらいにも腹痛で受診していました。

発熱もなく、小児科NO2のベテラン医師と、5年くらい先輩の小児科医が1回づつ診ていました。

 

私が、腹部の診察をすると、右肋骨弓下に肝臓を3cm程度触れました。

 

以前、研修医の時に、産婦人科外来で赤ちゃんの頭ほどある

卵巣腫瘍を触れさせてもらった事があるのですが、

その感触にして、肝臓腫瘍?!と直感しました。

 

すぐにエコーをするとやはり肝腫瘍がある。

小児科医になりたての私は、部長に相談して、

腹部造影CT、血液検査を行い、肝芽腫と診断しましたが、

そのまますぐに大学病院搬送となりました。

 

1年以上経ってから、私の元へ元気になった、その子を連れてお礼に来ました。

 

私は治療という面では何も出来なかったですが、

部長から褒められ、患者さんの保護者からも感謝してされ、

それ以後も腹部の診察は丁寧に行っています。

 

腹部触診を、丁寧に行わなかったため、

私より先輩の小児科医は、その肝腫瘍に気づかなかったのです。

 

⑤白血球28万の白血病患児

 

腹部腫瘍患者の続きです。

 

小児科医として、腹部腫瘍を2例目に見つけたのはその後5年以上あとで、

今から何年か前になります。

 

ところで、地域小児科同士での集まりが年に1回あり、

50歳くらいの小児科医が、去年、白血病患者を見つけたと話をしてまして、

初めての小児がんを発見したと言ってました。

あれ?私は数年に一度は小児癌見つけてるけど、

あんた、ちゃんと患者さんを見ているの?と思いました。

 

私が見た症例です。某病院での診療部長時です。

月曜日に小学5年生が腹痛で受診しました。

土日にも部活で出かけて腹痛があり、救急外来に行ってみてもらったが、

便秘と言われ浣腸してもらい、一旦は落ち着き帰宅となり

翌日も良くならず私の外来へ受診しました。

 

いつも通りまずは腹部を触ると、

肝臓腫大にすぐ気付きました。

おや?と思い、脾臓も触ると脾腫もあります。

 

それから、聴診し、頸部リンパ節を触るとゴロゴロ腫れがあり、

よく見ると紫斑といって、点状出血斑もあります。

すぐにエコーをして、肝脾腫を確定させ、白血病を疑いました。

 

母には、肝臓が腫れて、血液の病気の可能性があるから、

大きな病院で精査しなければならない。

すぐに紹介状を書きますので行ってみてもらいましょうとなりました。

 

私自身はとても深刻に考えましたが、

母にはあまり詳しくは話をしませんでした。

 

外来では癌の疑いがあるなどと言いませんでしたが、

看護師が言うには母親が紹介状を書いている間に泣いていたそうです。

昨日は、ただの便秘と言われたのに、、、と

何か感じ取った様子でした。

 

採血などは全くせずに

紹介先に白血病の疑いがあると連絡していってもらった所、

白血球が28万あり、その日のうちにドクターヘリで大学病院へ搬送されました。

 

その後、治療がうまく行ったのか1年後くらいにその子の兄弟を連れてきて、

お礼を言われ、今は治療がひと段落して自宅に帰ってきていると言っていました。

 

お腹を丁寧に触ることはそう時間がかかりません。

 

肝臓腫大がないかな?脾腫はないかな?とちょっと気にして触るだけなのです。

 

気にして触らないと見つけられません。

 

気にして触っても、見つけることは何年かに一度くらいです。

 

この辺が、医師としての腕の見せ所ですが、

まあ、いい加減な先生はたくさんいますので、

運悪く残念な先生に見てもらいたくはないですね。

 

⑥跛行の原因はなんと、、、

破行(はこう):歩き方がおかしいこと

 

3歳児の歩行がおかしいと受診されました。

 

歩かせてみると、左足を庇ったような歩き方をする。

 

関節の可動域は問題なく

触った所で何もない。

 

骨折などはしてる様子はありませんでした。

 

整形外科に相談して、股関節のレントゲンを撮りましたが、

異常はありませんでした。

 

一旦は異常ないため、帰宅として3日後に再び受診してもらいました。

 

発熱もなく元気で、痛い痛いなどは言わないのですが、

歩き方は変わらずでした。

 

もう少し詳しく骨の状態を見るために、MRI検査をすることにしたのです。

 

結果は、骨の中の骨髄がどうもおかしいとなり、

抹消血液検査では異常なく、機械による自動分析では異型が見つからなかったのですが、

顕微鏡で人が見ると、異型細胞がみつかり

結果は白血病でした。

 

同様の破行の患児を見たことはその後もありますが、

白血病であったのはこの1例だけでした。