こんにちは、訪問ありがとうございます。
研修医〜小児科医として学んだ貴重な症例を残しておきます。
5〜10年以上前のことなのでやや曖昧です。
① 選択的緘黙(せんたくてきかんもく)
自宅などでは話をするが、人前で一切喋らない子供がいました。
当時、小児科部長もこれを知らなかったのですが、
私の1個上の、某私大を主席卒業した先輩小児科医が、この病名を知っていたのです。
それ以後、選択的緘黙の児は、1年前にちょっとした母の言葉で診断をつけるまで、
10年以上出会うことはありませんでした。
②代理によるミュンヒハウゼン症候群
私が経験したのは、新規発症の1型糖尿病の入院患者様の母親が
入院中の血糖コントロールが良いのに、
退院後に複数回低血糖症状で運び込まれ、
のちに、母親によるインスリンの過剰投与が疑われ、
インスリンの減り具合に目をつけた、当時の部長が診断を下しました。
一歩間違えば、患児が死んでしまう恐れもあったため、児童相談所に通告し、母子分離に至りました。
母親の気持ちはわかりませんが、居心地が良い入院生活に味を占めての犯行で、
家庭内での不和が原因ではないかと当時は考えられました。
優しい主治医、優しい看護師が常に良いわけではないと考えさせられました。
代理によるミュンヒハウゼン症候群は、
他にも2例経験しています。
詐病(病気でないのに、病気といつわる)のうち、母親などが子供の病気を捏造するものが
代理によるミュンヒハウゼン症候群です。
③ミュンヒハウゼン症候群
一方、本人が病気を偽るものがこちらです。
他の医師の患者さんであったが
私が疑い診断をつけた症例です。
血尿を訴える女子中学生
繰り返す血尿を主訴に受診し、検査入院となった患者さんですが、
私が病棟当番で回診すると、何となく、違和感がある子でした。
私は、原因不明の血尿を調べるのではなく、本当に血尿なのか調べる必要があると考え、
ケースカンファレンスで、導尿しての検査を提案しました。
しかし、カンファレンスでは、私の意見は見送られ、採血、エコー、CTなど異常なく
1週間後に再提案し、導尿で検査したところ血尿は認めず、自分でどこからか血液を
混ぜていると判断しました。
しかし、主治医はその患児には、追及せず大丈夫だねと退院させ、
保護者にことの顛末を報告して
良く見ておいて下さいと帰しました。
そこの病院の部長先生は優しすぎる先生で、まあ色々思春期だからあるのだろうと、
咎めることをしない方針として退院させたのです。
しかし、数ヶ月後に強い腹痛でまた入院してきました。
CTでは、数cmの石灰化物質が胃に存在している事がわかりました。
内視鏡で摘出すると、石ころでした。
摘出後、数日で再び痛むので、再度CTを行うと、新たに石が2つ認めました。
入院中にも関わらず、売店など行くふりして、道路の石を飲み込んでいたのです。
この子もまた、家庭や学校での問題があり、病院に逃げてきた子だったのです。
命に別状はないものの、入院が安息の場というのは、
大変不幸なことです。
次回へ
続きます。