今から5年くらい前であろうか?

私が勤務医であった時の事です。

私の役職は診療部長で、私の科の医師は私のみであった。

 

朝から自転車で通勤していると、家から3分ほどの最初の交差点を、

青信号で、自転車横断帯を直進していると、正面から左折してきた軽自動車にぶつけられた。

 

私は、前を見て自転車を乗っていたはずが、

車に気づかず、気づいた時は倒れていた。(意識が一瞬飛んでいたようです)

死ぬ時は気づかず死ぬんだなと悟りました。

事故の瞬間を覚えてないからね。

 

幸い、それほど早い速度でなく、車も止まってくれたからこうして生きているが、

あと1メートル車が進んでいれば、車に踏まれて死んでいたかもしれません。

 

相手は初心者マークの大学生だった。

 

私はと言えば、肋骨がやられたようで、呼吸が苦しい。

 

しかし、これは出勤出来ないと思いすぐ職場に電話して、

交通事故にあったから、今日は出勤できないと伝えた。

大怪我ではないから、落ち着いたら連絡しますと、手短に切った。

 

まあ、痛いやら呼吸が苦しいやらで地面に倒れていると、

運転手やら、通行人が集まってきた。

 

5分くらいは経ったであろうか?

救急車は呼びましたか?と通行人が言っている。

運転手は、さっき呼んでましたよね。みたいなことを私にいっているが、

私は呼んでいない。

一言、呼んでいませんと。

(こっちは苦しいんだよ、おまえが呼べよと思った。)

 

そしたら、通行人か、運転手が救急車を呼んでくれた。

 

事故のショックであろうか、痛いやら息苦しいやらで、何も考えられない。

 

救急隊が到着し、何処か搬送先を決めてくれているのだが、

私の勤務する病院には、整形外科がないが、勤務先の真向かいに整形外科があるから、そこに運んで貰えばよかったが、苦しさのあまりに横になっていたら、知らない整形外科に運ばれていた。

しかし、痛みはあるが、時間が経つにつれ、呼吸の苦しさはおさまってきた。

 

運ばれた先では、診察の前に看護師が傷の手当てをしてくれているが、

今時、消毒液で消毒し、ガーゼを当てておしまいだ・・・

(治る傷もそれでは治らんぜよと思ったが、

私は今日は患者の身、黙っていた。)

 

診察があり、レントゲンを撮り、

レントゲン室では、自分の太モモを見て、

技師が、何かスポーツやってますか?

足の筋肉すごいですね。と言っている。

そこで気づいたのですが、痛いんだよね、太もも、

車にぶつかって思いっきり腫れているだけだから!

診察時は麻痺していたのか、それに気づかなかった。

 

結局肋骨が2本ほど折れていて、

しばらく入院しておく?なんて聞いてきたが、

そんなことは出来ないどころか、午後から診療するかどうかを迷っていた。

 

コルセット巻いて

また、来週ってな具合になった。

 

勤務先の病院行って、

事情を説明して、

午後も休むことにしたが、翌日から勤務することにした。

 

傷の処置は、砂などをきれいに洗わないと、

傷に異物が残ると傷の治りが悪くなります。

消毒の必要ない。

1番は洗浄だ。

私は自分の診察室で、処置してもらったガーゼを剥がし、

水道水と石鹸で洗いながら、ゴシゴシと砂などを良く洗い流した。

もちろん、痛いがこれが最も大事な処置だ。

異物除去は基本中の基本だろ!!!

道路で転がって擦りむいて傷になっているんだから。

 

創傷被覆剤を看護師に貼ってもらって、防水テープで覆ってもらった。

 

私は被害者でありながら、自分で今後、傷の処置をすることになります。

ガーゼ、被覆材、防水テープだってただじゃねえんだぞ。

でも買っている訳でないから、(勤務先のを拝借しているんだけど)

 

いちいち、整形外科なんて通ってられないんだよね。

通ったところで早く骨がつながる訳でないし、

痛み止めと湿布は初回にもらったし。

 

入院してサボって休みたいけど、

私が休んだら、患者さん誰が見るのって話だし。

 

翌日から、動くと痛くて立ったり座ったりも苦しくなる中、

通常通りに勤務していた。

 

交通事故って、病院通うとお金の支払いが増えたりするんだよね。

私なんて痛いの我慢して、自分で傷の処置してって、

ほとんど病院に通わなかったから、

完全に軽傷の人と同じような扱いに交通事故としてはなっているんだよね。

 

休んで、傷の手当てしてもらったり、数日安静のために入院したり

痛いから勤務できないなんてゴネたり

ちょっとはしたい訳ですよ。本心では。

医師だって人間ですよ!

 

家で寝るときに体位を動かすと激痛だから、

寝る時が一番苦労しました。

じっとしていると痛い、動くと痛い。

寝返り打つととてつもなく痛い。

したがって寝れない。

痛い痛い死ぬーなんていってると、

隣で息子がパパ大丈夫?

パパ死なないでね、なんていたわってくれる。

 

本来なら一週間は仕事は休むべきだったと思うし、

数日は入院して安静にしてたかった。

 

結局、事故当日に休んで、

1週間後、勤務前の時間に整形外科に朝早く行って見てもらって、

(勤務先の院長の友達が、担当医だったので、特別だ。)

1ヶ月後にもう一度朝早く見てもらって、終診としてもらった。

そして、休まずに勤務を続けた。

 

だって、骨なんてレントゲン撮ってくっついている事を、

わざわざ確認せんでも、生活できれば別にいいからね。

そのうちに、くっつくっしょ!

痛かったり不都合があればまたみてもらいますよって話です。

 

整形外科に通っても、治るまでの早さは変わらんし、

私の場合はリハビリがある訳ではなかったからね。

 

私が、医師であることから、

交通事故にあっても、普通の人のようには、

病院に通えないって、話です。

 

保険会社から見たら、

大したことなかったんだなって、話になるのがむかつきました。

 

いや、思い出しただけで余計にむかつくわ!!!