お誘いをうけた話
極貧時代
化粧品の営業をやらないかと誘われたことがあります
しかも
結構長い間、しつこく誘われました
そのころの私は
貧乏の真っ只中
かけもちで仕事をしても
生活は苦しく
毎日毎日
起きた瞬間から、寝る直前まで
フル回転で仕事と家事をこなしていました
そんな私を
見かねて声をかけてくれたのでしょう・・・
↑と思いたい
この仕事で頑張れば
今より断然良い暮らしができるから～～～と
貧乏暇なし
おしゃれする余裕もなし
当然
美容系には興味なし
化粧なんてしている場合ではありませんもん
そんな時間があったら
一分一秒でも多く働きたい
だから
まったく相手にしていなかったのです
しかしですよ・・・
魔が差したというか・・・
あまりのしつこさに負けて
一度だけ
その化粧品を運営するサロンに
お試し体験で行ったことがあります
着いたら早速
おすすめの美顔器から出るスチームを
顔に当てられ
化粧水やらクリームやらを塗られ
「すごくいいでしょう～？」
満面の笑みで
顔をのぞき込んでくるサロンのボス
私
「・・・」
正直、何がどういいのか
まったくわかりません
感想をひとつあげるなら
私のように忙しい人間に
毎朝毎晩
こんなことをしている時間はない
ということだけ
もちろん
良かったら良かったと言いますよ！
でも
まったく良さがわからない
さらに度胆を抜いたのは金額です
このスチームが出る美顔器と
付属の化粧品一式が付いて
全部で３０万
３０万ですよ奥様～～
３０万あったら
子どもたちに
あれもこれもしてあげられます～～～
明日食べるのにも困っている人間に
こんな商品を勧めるなんて
鬼だ
鬼以外の何物でもない
サロンのボスは言いました
「私も母子家庭で、すごく苦労したのよぉ～～」
「この商品に巡り合って、人生が変わったのぉ～～」
「精一杯フォローするから、一緒に頑張りましょう！」
またも満面の笑み
もちろんお断りしました
百歩譲って
私が、その化粧品を気に入って
これなら
人様にお勧めしたいと心から思ったとしても
３０万円の購入資金は無い
まずは
私が買わないと
この仕事は始められないと言われ
始めるつもりはないけれど
断り文句として
お金がないと言うと
「ローンを組めば、月々一万円よぉ～～」
と目を見開いたボスが迫ってくる
こわいこわいこわい
やばいやばいやばい
必死にその場を逃げてきましたが
あとで聞けば
私が３０万の商品を買うと
紹介者であるその人に数万円入り
ボスにも数万円
ボスの上にも人がいるので、そこにも・・・
完全にねずみ講っていうやつ
３０万からこれだけマージン抜けるって・・・
実際の商品の金額はいくらやねん
必死で断ったのに
しつこい勧誘は
その後も続き・・・
ある日の夜
家に夫婦でやってきて
またその話が始まった
仕事で疲れていたし
さすがに腹が立ったので
「やらない！」
「帰れ！」
と言うと
むこうも怒って
「じゃあ、これもいらないよね！」と
持ってきたドーナツの箱を
持ち帰ってしまうというオチ付き
やれやれです
この日の出来事は
今でも我が家の語り草になっています
息子もあきれて言います
「子供がドーナツ見てるのに、あれはないよね！」
やりたい人はやればいいけど
私は
ねずみ講で生計をたてるなんて
未来永劫お断りだよ
つづく
