お菓子作りをされる方々はそのお菓子をラッピングする袋を選ぶときに
「ガス袋」
「エージレス対応」
という言葉をよく見ると思いますが、今日はその意味や原理をご紹介したいと思います
ビニール・フィルムとは?
ビニール袋、水を通さないのに空気は通る?
ビニール袋やジッパー付きの袋に水分を入れると、穴が開いていない限り漏れてくることはなかなか有りません
しかし、匂いが漏れてくることが有ります
それは、原子や分子が通り抜けているから
ビニールは分子を通す?
「ガスバリア袋」「脱酸素剤対応」といっても、分子・原子レベルでは100%遮断できません
その透過度はビニール・フィルムの素材によって異なります
分子の大きさや特性を利用したものはビニール以外で分かりやすく例えるなら、「ゴアテックス」という素材
防水透湿機能のある素材で、外部からの水は通さないけれど内側からの湿度は出して蒸れを防ぐという特徴があります
同じような原理で、ビニールやフィルムもその素材によって、通すもの・通しにくいものがあります
水蒸気の性質
水蒸気は高湿度の場所から低湿度の方向へ向かう性質があります
そのため、湿度の高い場所 (室内) から湿度の低いビニール内 (個包装内) へと向かう
ビニールやフィルムの表面についた湿気は水分子として内部に染み込み、拡散しながらビニールやフィルムの内部を進み、反対側へ透過していく
ビニールの素材
日常生活では色々な袋やシートを一言で「ビニール」と呼ぶことが多いと思いますが、実はどれも素材が違い、その種類や特徴は多岐にわたります
例えばポリエチレン (PE)、ポリプロピレン (PP)、ナイロン (COy、ONy) など…
ポリエチレンでも高密度ポリエチレン (HDPE) と低密度ポリエチレン (LDPE) では酸素の透過度が8倍も違います
✽透過度一覧はコチラ↓
ガス袋とは?
ビニール・フィルムの基礎情報を踏まえた上で、ガスバリア袋の話に進みます
ガス袋とは?
├「ガス袋」とは、バリア性のあるフィルム (バリアフィルム構成) の袋のこと
└例) KOP、BNYなど
バリア性とは
├外部からの品質低下を招く要因を遮断する働き
└空気中の酸素、窒素、二酸化炭素、水蒸気など、食品の鮮度保持や品質に影響を及ぼすものを遮断する
バリアフィルム構成とは
├主にOPPやナイロンにバリア加工を施したバリアフィルムを使用
└それにシーラントフィルムを張り合わせることで袋になる
シーラントフィルムとは
├ヒートシール (加熱圧着) できるフィルムのこと
├ラミネートなどにも使用される
└CPP、LLDPE、VMCPPなど
CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム
LLDPE:リニアー低密度ポリエチレン
VM-CPP:蒸着 (透明蒸着、アルミ蒸着) した無延伸ポリプロピレンフィルム
ガスバリア袋の種類 (形状)
✽ガゼット袋
基準 (脱酸素剤対応)
├酸素透過度の低い包装フィルムであること
└酸素透過度:20ml/㎡・1atm・24h 以下のもの
酸素透過度とは
├ (計量単位)
├㎡:1平方メートル
├1atm:1気圧
├24h:24時間
└1気圧の状態で、1平方メートルの面積あたり、24時間で透過する酸素量
SI単位で表示する場合もある
├SI単位:世界共通の国際単位
├fm/(s・Pa)
└1fm/(s・Pa)=8.752 c㎥/(㎡・24hrs・atm)
もしくは…
├ml/㎡・MPa・24h
└(計量単位値に9.87を乗じたもの)
基準を満たす素材例
├アルミ箔
├アルミ蒸着
├エバール
├バリアナイロン
├塩化ビリニデンコート (Kコート)
└…など
その他素材は?
一般にナイロン袋またはナイロンポリと呼ばれる袋の酸素透過度は約25ml〜120mlのため、脱酸素剤の使用にはあまり適していない
菓子包装などによく利用される
├OPP/PE (延伸ポリプロピレン/ポリエチレン)
├CPP (無延伸ポリプロピレン)
├PE (ポリエチレン)
└…などの酸素透過度は約1500ml〜3000mlのため、脱酸素包装には全く適していない
単位まとめ
引張強度
├計量単位:1kg/15mm
└国際単位:9.8N/15mm
伸び
├計量単位:%
└国際単位:%
衝撃強度
├計量単位1kg・cm
└国際単位:9.8N・cm
突刺強度
├計量単位:1kg
└国際単位:9.8N
ヒートシール強度
├計量単位:1kg/15mm
└国際単位:9.8N/15mm
透湿度
├計量単位:1g/㎡・day
└国際単位:1g/㎡・d
酸素ガス透過度
├計量単位:1ml/㎡・24hrs・atm
└国際単位:9.87ml/㎡・day・MPa
(または5fmol/ (㎡・s・Pa) )
N:ニュートン
MPa:メガパスカル
f:フェムト (フェムト=10の-15乗)
fmol:フェムトモル
fm:フェムトメートル
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今日は冒頭から「また化学式の話?」と思いきや、とてもシンプルなお話でした
何せ、
「脱酸素剤を使用したい」
なら、最低限
「酸素透過度が20ml/㎡・1atm・24h 以下のもの」
を選びましょう〜
…ということです
その他は各用途次第で、条件の合う素材のものを選べば良いだけです
その際に透過度一覧や単位一覧を参考になさって下さい
フェムトって何!?
モルって何!?
とか考えなくて良いです
「単位ね、単位、ふ〜ん」ってくらいで良いです
m (メートル) って何?って、説明出来る人の方が少ないですよね、そんな感じで大丈夫です
(一応…フェムトは「10の-15乗」です、ご興味のある方は勉強してみて下さい〜)
(ちなみに「m (メートル) 」もSI単位の1つ、ギリシャ語「メトロン (ものさし)」が語源だと言われています、現在の定義は「1秒の 1/○○ の時間に光が真空中を伝わる長さ」…だったはず…曖昧且つ間違えていたらすみません)
(なんのこっちゃ!?…と思う人の方が多いと思います〜)
交通事故による回転性のめまいが有り、記事をまとめるのにかなり日数がかかってしまいました😓
記事投稿時点で自分が知っていること
を載せていっているので、間違えていることもあるかもしれません
各情報は随時更新していく予定です
目安程度にご覧頂ければ幸いです
本日もお読み下さりありがとうございます🙇❤️