巨大なワームホールさえ出来れば、後は隕石がそこに入ればそれでいい。
 地球にはぶつかることなく、隕石群は別の空間に消えていくだろう。
「いや、それは無理だ」
 しかし博士は俺の案を一瞬で否定した。
「どうして?」
「簡単なことだ。ワームホールは最大直径100mほどでしか維持できん」
「………へ?」
 俺の間抜けな返答に、なるほど納得顔の博士。
「そうか、お前はつまり、ワームホールはどれだけでも大きく広げることが出来ると思っておるのか」
「あ、ああ。そうじゃないのか?」
「うむ、全く違う」
 そう言って、博士は昼食を食べていた椅子から立ち上がり、研究用の机の方に向かって歩く。
「実はワシも先ほどそう思って計算してみた。………時に、ワームホールの仕組みは知っておるか?」
「詳しくは知らないが、簡単にならculturelle 香港
「そうか、お前も多少は勉強したんだな」
 そう言いながら、机の上にある書類をあさり始める。
 しばらく紙が刷れる音だけがして、何かを見つけたらしくその音は止まった。
 そこから1枚紙を取ってきて、俺の前においた。
「これは………?」
「ワームホールの模式図だ」
 それは、ワームホールの構造が書いてある紙だった。
 手書きらしく、微妙に絵がゆがんだりしているがまぁそこは愛嬌だろう。
「良いか。ワームホールとは、お前も知っている通りを利用して穴をつなげるものだ。 例えば、紙を想像しろ。この紙でかまわない。さて、今お前はこの紙のこの隅っこにいると考えるんだ」
 そう言って博士はその紙の四隅のうちの一つを指差した。
「ではここで問題だ。この隅っこから対角線上の隅っこまで最短距離で行くにはどうすればいい?」
「最短距離?」
「そうだ」
 うなずく博士。
 紙の隅と隅をつなぐんだろ?
 それなら最短距離は間違いなく
「直線で結べばいいんだろ、二点を?」
「そうだ。その通りだ」
 そういって博士はその二点を結ぶ直線を指でなぞった