前略
| 何時ものざわめきは姿を消し、展望デッキは静寂に包まれていた。 |

| 一人で縄文杉と向き合うと、その佇まいに尊厳と慈悲を強く感じる。 |
| 全てを達観した僧侶に温かく見守られているような気持ちになる。 |
| 「何時もお騒がせして済みません」と声に出して、雲古君と共にお辞儀した。 |
| その場に居続けたい感情を抑え、その“悠久の時空”を後にする。 |

| 大王杉、夫婦杉、トロッコ道etc何処に行っても誰もいない。 |
| 今日一日、重い雲古を運び、長距離を歩いているにも関わらず、 |
| 足取りはとても軽やかだ。 |
| あまりの心地よさにトロッコ道を走り出す。 |
| 夕暮れのひんやりとした森の空気が体を洗い流してくれる。 |
| 再び、トロッコ道に分れを告げ、もののけ姫の森を目指して、辻峠を登る。 |


| 傾き出した太陽が僅かな木々の隙間から暗い林床を照らし出している。 |
| スポットライトに照らし出された根元の苔を眺め、森全体を見渡す。 |
| 出勤・仕事場・帰宅 |
| パプアは何時もこの素晴らしい森に見守られながら、 |
| 生活しているんだなぁ~と思うと、嬉しさと感謝の気持ちで一杯になった。 |

| そして、その気持ちを伝えるべく、 |
| 大きく息を吐き、胸いっぱいに森の空気を吸い込んだ。 |