年金特別便に本人負担分しか記載されていないのは、年金特別便が老齢厚生年金(報酬比例部分)の概算額のみを表示しているためです。

老齢厚生年金(報酬比例部分)は、加入者の給与に応じて算定される年金で、保険料も本人と事業主が折半負担しています。

年金特別便に記載されている本人負担分は、あくまでも将来受け取れる老齢厚生年金(報酬比例部分)の概算額の一部であり、企業が負担した年金保険料全体を示すものではありません。

企業が負担した年金保険料のもう半分は、以下のいずれかに使われます。

  • 基礎年金: 国が全額を負担する年金で、国民皆済が対象です。厚生年金保険に加入していない人も含め、一定の条件を満たせば誰でも受け取ることができます。
  • 厚生年金(共済部分): 厚生年金保険に加入している人が病気やケガで働けなくなった場合などに支払われる年金です。
  • 遺族年金: 厚生年金保険に加入している人が亡くなった場合、遺族に支払われる年金です。
  • 介護保険: 要介護状態になった人が、介護サービスを利用するための費用を補助する制度です。

つまり、企業が負担した年金保険料は、老齢厚生年金(報酬比例部分)以外にも、様々な社会保障制度の運営に充てられているのです。

年金特別便で示されている本人負担分の金額だけでは、将来受け取れる年金の全額を把握することはできません。より詳細な試算を知りたい場合は、ねんきんネット「ねんきんシミュレーション」を利用することをおすすめします。

なお、年金制度は複雑なため、疑問点があれば、日本年金機構に確認してください。