Wi-Fiルータは、端末側からの接続要求がない場合でも、常に微弱な電波を「ビーコン」として送信しています。これは、端末側がWi-Fiルータの存在を検知し、接続を試みるためのものです。

具体的な動作原理は以下の通りです。

1. **電源投入・初期化:** Wi-Fiルータを電源に接続すると、起動し初期化処理が行われます。この処理の中で、Wi-Fiネットワークの設定(SSID、パスワードなど)を読み込みます。
2. **ビーコン送信:** 初期化処理が完了すると、Wi-FiルータはSSIDと暗号化キーを含むビーコンと呼ばれる信号を、2.4GHzまたは5GHzの周波数帯で定期的に送信し始めます。ビーコンの送信間隔は、Wi-Fi規格やルータの設定によって異なりますが、通常は数十ミリ秒から数百ミリ秒程度です。
3. **端末側の検知:** スマートフォンやパソコンなどのWi-Fi対応端末は、常に周囲の電波をスキャンしており、Wi-Fiルータのビーコンを受信すると、その存在を検知します。
4. **接続要求:** ユーザが端末上でWi-Fi設定画面を開き、SSIDを選択すると、端末はWi-Fiルータに対して接続要求を送信します。
5. **認証・接続:** Wi-Fiルータは、接続要求を受信すると、端末からの認証情報(パスワードなど)を確認します。認証情報が正しければ、端末とWi-Fiルータの間に無線接続が確立され、データ通信が可能になります。
6. **データ通信:** 接続が確立されると、端末とWi-Fiルータ間でデータの送受信が可能になります。例えば、Webサイト閲覧、メール送受信、動画視聴など、様々なインターネットサービスを利用することができます。

ビーコンの送信は、消費電力を抑えるため、微弱な電波で行われます。そのため、障害物が多い場所や離れた場所では、ビーコンを受信しにくくなる場合があります。また、ビーコンの送信間隔が長すぎると、端末側がWi-Fiルータを検知するのに時間がかかる場合もあります。

Wi-Fiルータの中には、省電力機能を搭載したものがあり、ビーコンの送信間隔を調整したり、電波強度を下げたりすることで、消費電力を抑えることができます。ただし、省電力機能を有効にすると、ビーコンを受信しにくくなったり、接続速度が低下したりする可能性もあります。

Wi-Fiルータの設置場所や設定によっては、電波の届きにくい場所や通信速度が遅くなる場所がある場合があります。そのような場合は、Wi-Fiルータの位置を変えたり、中継機を使用したりすることで、電波状況を改善することができます。