## 深海魚の不思議

**過酷な環境で生き抜くための進化**

水深200メートルよりも深い海を**深海**と呼び、そこに生息する魚類を**深海魚**と呼びます。深海は、**暗闇**、**高水圧**、**低温**、**餌が少ない**など、地上とは全く異なる過酷な環境です。しかし、深海魚はこうした環境に独自の進化を遂げて生き抜いています。

**1. 巨大な体と口**

深海では餌が少ないため、**巨大な体**を持つ深海魚が多くいます。また、獲物を逃さないように**大きな口**を持つものもいます。例えば、ダイオウイカは体長10メートルを超えるものもおり、世界最大級の無脊椎動物です。

**2. 光る体**

**生物発光**と呼ばれる、自ら光を出す能力を持つ深海魚が**8割以上**もいます。この光は、**獲物をおびき寄せたり**、**敵を威嚇したり**、**仲間とコミュニケーションを取ったり**するのに役立ちます。光の色や点滅パターンは種によって様々で、まるで水中イルミネーションのようです。

**3. 奇怪な姿形**

深海魚は、**大きな目**、**長い歯**、**棘**など、**奇抜な姿形**をしているものも多くいます。これは、暗闇の中で獲物を見つけたり、敵から身を守ったりするのに役立っています。例えば、ハシウオ科の魚は、口が大きく開いていて鋭い歯が並んでいるため、「オオグソクムシ」の異名を持っています。

**4. ゼラチン状の体**

水圧の高い深海では、魚の体は**ゼラチン状**になっているものが多いです。これは、水圧によって体が潰れるのを防ぐためです。また、ゼラチン状の体は**軽量**なので、少ないエネルギーで泳ぐことができます。

**5. 感覚器官の進化**

暗闇の中で獲物を見つけたり、敵を感知したりするために、**聴覚**や**嗅覚**が非常に発達している深海魚もいます。また、側線と呼ばれる器官を使って、水流の変化を感知するものもいます。

**まだまだ多くの謎が残されている**

深海は地球上の面積の**約7割**を占めており、**9割以上**がまだ未踏の領域です。そのため、**まだまだ多くの深海魚が発見されていない**と考えられています。今後、深海探査技術の進歩によって、さらに多くの不思議な深海魚が発見されることが期待されています。

**深海魚についてもっと詳しく知りたい**

* **国立科学博物館 深海生物コーナー**:[https://www.kahaku.go.jp/english/](https://www.kahaku.go.jp/english/)
* **海洋研究開発機構 JAMSTEC**:[https://www.jamstec.go.jp/deepbio/j/](https://www.jamstec.go.jp/deepbio/j/)
* **NHK for School 深海の生き物たち**:[https://www.nhk.or.jp/school/](https://www.nhk.or.jp/school/)

**その他**

* 深海魚の生態は、**地球環境**や**生命の進化**について考える上で重要な手がかりとなっています。
* 深海魚の中には、**医薬品**や**化粧品**などの開発に役立つ物質を持っているものもいることが分かっています。
* 近年、深海魚の乱獲や海洋汚染などの問題も深刻化しており、**深海環境の保全**が重要になっています。