**日本におけるADSLの歴史**

ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)は、従来の電話回線をそのまま利用して、高速なインターネット接続を実現する技術です。1999年に日本で商用サービスが開始されて以来、ブロードバンドインターネットの普及に大きく貢献しました。

**1999年:日本で初めてのADSLサービスが開始**

ADSLの商用サービスは、1999年8月に長野県の川中島町有線放送とプロバイダーである「JANIS ネット」が共同で開始しました。当時の月額料金は10,000円と高額でしたが、従来のモデム接続に比べて圧倒的な速度を実現したことから、注目を集めました。

**2000年:大手事業者がADSLサービスに参入**

翌年2000年には、NTT東日本、NTT西日本、東京めたりっく通信(現ソフトバンクBB)、イーアクセス、アッカなどの大手事業者がADSLサービスに参入しました。これにより、ADSLの認知度が急速に高まり、加入者数も急増しました。

**2001年:Yahoo! BBが登場**

2001年には、Yahoo! BBが登場しました。Yahoo! BBは、月額料金2,980円の低価格を実現したことで、ADSLサービスの普及に大きく貢献しました。この頃には、ADSLの加入者数は100万人を超え、ブロードバンドインターネットの普及率は20%を超えるまでになりました。

**2002年:ADSLの普及が加速**

2002年には、NTT東日本とNTT西日本が、ADSLの最大速度を下り12Mbpsに引き上げました。これにより、動画やオンラインゲームなどのコンテンツを快適に楽しめるようになりました。また、この頃には、モバイルブロードバンドの登場も相まって、インターネットの利用が急速に拡大しました。

**2003年:ADSLの加入者数が1,000万人を突破**

2003年には、ADSLの加入者数が1,000万人を突破しました。これは、当時の日本国内の世帯数の約4分の1に相当します。ADSLの普及により、インターネットは一般家庭にも身近なものになりました。

**2004年:FTTHが登場**

2004年には、FTTH(Fiber to the Home)が登場しました。FTTHは、光ファイバーを直接家庭に引き込むことで、ADSLよりもさらに高速なインターネット接続を実現する技術です。

ADSLは、FTTHの登場により、徐々にその地位を脅かされるようになります。しかし、ADSLは、全国のほとんどの地域で利用できる利便性の高さから、現在でも一定のシェアを維持しています。

**ADSLの技術的な特徴**

ADSLは、従来の電話回線をそのまま利用して、高速なインターネット接続を実現する技術です。ADSLでは、電話回線の周波数帯を上下2つの帯域に分割して利用します。下り帯域は高速データ通信に、上り帯域は低速データ通信に使用します。

ADSLの最大速度は、下り12Mbps、上り1.5Mbpsです。これは、従来のモデム接続の最大速度(下り56kbps、上り33.6kbps)と比べると、圧倒的な高速化を実現しています。

ADSLは、以下のようなメリットがあります。

* 全国のほとんどの地域で利用できる
* 比較的低価格で利用できる
* 高速データ通信が可能

ADSLは、日本のブロードバンドインターネットの普及に大きく貢献した技術です。今後も、FTTHの普及が進む一方で、ADSLは、その利便性の高さから、一定のシェアを維持していくと考えられます。