前回のつづきです。
2月26日、金城哲夫さんの生まれ故郷・沖縄県南風原(はえばる)町の金城哲夫展へ行ってきました。
この日は金城さんの命日でした。亡くなられたのは41年前。ウルトラQとウルトラマンの放送から僅か10年後のことだったのです。
展示品の撮影がOKだったので紹介していきます。えっ、写真撮るの下手すぎだって??ごめん!!
ウルトラセブン台本、モニター報告書、企画書
ウルトラセブン制作第1話(放映3話)「美しき侵略者」「湖のひみつ」)
監督:野長瀬三摩地、特殊技術:高野宏一
ウルトラセブン制作第2話(放映2話)「緑の恐怖」
監督:野長瀬三摩地、特殊技術:高野宏一
レッドマンとはあのレッドマンではなく、ウルトラセブン企画段階のタイトルです。
『ウルトラ警備隊』『ウルトラアイ』『レッドマン』の企画を経てウルトラセブンが誕生しました。レッドマンは初代ウルトラマンの企画段階のタイトルでもあります。
2冊とも決定稿ですが、タイトルはまだレッドマンです。
台本上は制作3話『ダーク・ゾーン』、制作4話『地球壊滅計画』(マックス号応答せよ)までレッドマン、制作5話『姿なき侵略者』からウルトラセブンとなっています。
※表紙に無数の点があるように見えますがガラス越しに撮ったのでガラスに天井が写り込んだものです。
幻の企画『怪獣アクションシリーズ 戦え!ウルトラセブン』
ウルトラマンやセブンは本放送終了後も再放送で高い視聴率を誇り、特にセブンは『ウルトラファイト』(1970年9月~1971年9月)の新撮編で活躍した影響もあってか人気が高かったそうです。
こちらはそんな71年初頭に提出されたというセブンの続編企画です。
セブンは怪獣に敗れてもトレーニングを積み相手の弱点を研究しまた挑む、準レギュラーの敵キャラ怪獣が登場する、といったスポ根要素を取り入れていたようです。
これが実現していれば元祖セブンとはかなり毛色の違う作品になっていたでしょう。むしろ後年のレオに近いw
71年2月には帰マンの撮影がクランクインしているので全くの別企画のようですが、「主人公は北海道のカドクラ牧場で働いている」など帰マンでNGになった設定の大部分が流用されていたそうです。
金城さんは沖縄へ帰郷後の時代なのでノータッチと思われます。
ウルトラセブン覚え書
一.現在までのところ、視聴率的にいっても各話にそれ程の差はあらわれず、又、一般の評価もまちまちであって必ずしもこれが絶対であると極めつけることは困難である。
一.所謂大人の鑑賞にも堪えるといういう点については、これからも益々力を注ぎたい。特に次期番組へのプロセスとしても重要であると考えている。
一.侵略の恐怖、サスペンスという点をもっと強調したい。
一.宇宙人の形態、性格。能力についてはもっと工夫をこらしたい。つまりこわさの点で、これまでの表現はものたりない。形態上の工夫、登場の仕方(舞台装置)、動かし方等、さらに工夫を要する。また或る場合には、本体を見せない方が効果的であろう。
一.怪獣(宇宙怪獣)は効果的に使うこと。つまりむやみに出現させない。形態上の工夫も勿論必要。
一."緑の恐怖"のような所謂怪奇的要素をふやすこと。
一.敵に(あるいは防衛軍側に)強力な超兵器を持たせ、メカニズムの面白さをもっと見せる。
一.セブンの弱点を設定、徹底的に危機にさらす。これは逆にいえば強さの協調となる。
セブンのいつ頃の時期に書かれたのかはわかりませんが、番組強化案のようなものでしょうか?
金城さんのメインライターとしての仕事ぶりが窺えます。
ウルトラQ以前の単発ドラマ台本
『純愛シリーズ 絆』
『いまに見ておれ』
『泣いてたまるか 翼あれば』
『近鉄金曜劇場 こんなに愛して』
円谷一監督が自身の演出する純愛シリーズで「公募作品を脚色する」という形で金城さんをデビューさせています。
『近鉄金曜劇場 こんなに愛して』
金城さんの単独としては初の脚本作品です。
主人公はマネキン工場に勤める職人・大助。自称「芸術家」の彼はもう何度も見ず知らずの女性の美しい手を撫でては痴漢扱いされていたが、唯一受け入れてくれた女性・ヤッコと結婚する。
ヤッコはセックスを知らない。二人を結びつけるのは大人が失ってしまった"純真な心"であるが、そのために周囲と軋轢を起こしてしまう・・・
という物語だそうです。
沖縄帰郷後の沖縄芝居台本
『虎!北へ走る!』
『風雲!琉球処分前夜』
『泊(とまり)気質ハーリー異聞』
『一人豊見城(ちゅいとみぐすく)』
ラジオドラマ台本
『噴煙』
『船乗り蒲寿(かみじゅー)』
『江戸上り(ぬぶり)異聞』
『原家(はらやー)の太良(たらー)』
金城さんの愛用品
金城さんは帽子がお好きだったのか帽子を被っている写真も幾つか目にします。
ラッパは東京から沖縄へ帰る船上で見送る仲間に向け吹いていたそうです。
「T.KINJO」と刻印のあるパスケースのようなものには白焼けしたタロウのアンドロメダのシールが貼ってあります。
名刺は「日本放送作家協会員 琉球朝日・テレビ・ラジオ パーソナリティ 金城哲夫」となっています。
金城哲夫展は金城さんの命日である2月26日周辺に毎年開催されています。
開催地の南風原(はえばる)町は沖縄の玄関口である那覇市からほど近く、バスや車で気軽に行けます。
貴重な資料も展示されていますし、ウルトラマンショーもありますし、本土のウルトラファンの方々にも是非お越し頂きたいイベントです。
来て!!お願い!!楽しいよ!!!!
…とか言いながら僕も沖縄本島の人間ではないし毎年参加してるわけでもありませんがw
更に、南風原町には金城さんの実家であり料亭の「松風苑」があります。
ここでは金城さんが生前使用していた書斎が「金城哲夫資料館」として、ファンへ公開されています(事前に予約が必要)
2012年に撮った写真を少し貼ってみます。こちらにも是非足を運んでみてください。
【参考資料】
「ウルトラQ」の誕生(白石雅彦/洋泉社)
怪獣使いと少年・増補版(切通理作/洋泉社)
ウルトラセブン研究読本(洋泉社)
帰ってきたウルトラマン大全(白石雅彦/双葉社)
金城哲夫 ウルトラマン島唄(上原正三/筑摩書房)
ウルトラマン99の謎(青柳宇一郎・赤星政尚/二見書房)
ウルトラセブンBlu-rayBox台本再生機能