2月も半ば。

 

この冬は昨年の夏同様、本当におかしい気温ですね。

 

雪が降ったかと思ったら、いきなり4月下旬の気温。

 

次の日には平年並みの冷え込み。

 

なんだかなぁ。

 

さてそんなおかしな季節、部屋でゆっくりと読書なんていかがですか。

 

今回ご紹介するのは、こちらの作品です。

 

 

 

 

 

『ジウX』

誉田哲也 著作

 

やじおんガイド:☆☆☆(あまりにも大きな背景に対し、ちょっとアンバランスかな)

 

〜帯裏から〜

「あたしの権限で、今すぐここで殺したって、いいわけよ。ねぇ、どうする?」

生きながらにして臓器を摘出された死体が発見された。

東弘樹警部補らは懸命に捜査にあたるが、

三ヶ月が経っても被害者の身元さえ割れずにいた。

一方、陣内陽一の店「エポ」に奇妙な客が集団で訪れた。

緊張感漂う店内で、歌舞伎町封鎖事件を起こした

「新世界秩序」について一人の女が話し始める。

「いろいろな誤解が、あったと思うんです」

各所で続出する不気味な事件。

そして「歌舞伎町セブン」に、かつてない危機が迫る・・・

 

 

久しぶりに誉田哲也作品を読みました。

 

「ジウ」シリーズは読んだことがないので、

 

いきなり最新作ではどうかなと思ったんですが、

 

猟奇殺人サスペンス好きとしては、帯裏解説が魅力的だったので手にしました。

 

といってもかなり前に買って積んでおいたんですが。

 

さて最初にやじおんガイドです。

 

今回は3つ星としました。理由は後ほど。

 

次にストーリーですが、こちらも毎度の帯裏解説に委ねますね。

 

この作品は「ジウ」シリーズの最新作です。

 

「歌舞伎町セブン」というのは知ってましたが、姫川玲子シリーズの

 

『硝子の太陽Rouge』でコラボした時に読んだだけで、本筋は知らないんです。

 

でも、ストーリーの端々に歌舞伎町封鎖事件などちょっとした回想が入るので、

 

さほど苦痛なく物語の世界に飛び込めました。

 

帯解説の通り、かなり辛酸な猟奇殺人が連続して発生します。

 

でも被害者たちの繋がりが今ひとつはっきりしない。

 

それどころか犯人像さえ掴めない。

 

そんな中、「歌舞伎町セブン」の下に不穏な手が忍び寄ってくる。

 

物語の中盤までは、それぞれのピースがバラバラのまま散りばめられていて、

 

どう繋がるのか、楽しみな展開でした。

 

問題はこの、すべてを繋ぐ背景です。

 

実はここに星を減らした理由があるんです。

 

誉田作品は時折、国際的な問題や外交関係が背景にあるんですが、

 

今回もそのパターンでした。

 

どんな背景かはネタバレになるので控えますが、

 

新世界秩序が理想とする世界。日本の将来を左右しかねない新たな法案。

 

一歩進んだ独立を目指すといえば聞こえがいい軍備。

 

そんな背景で起きる事件としてはちょっと規模が小さく、というよりは、

 

個人的な嗜好が多分に反映されすぎてる感じが、アンバランスだなと感じたんです。

 

物語全体として実に面白く、それぞれのキャラの感情もよく描かれているので、

 

一気に読んでしまえるんですが、もう少し背景を絞り、

 

猟奇殺人と歌舞伎町セブンとの因縁に主軸を置いた方が、

 

奥行きが出たかなと思います。

 

ただこれは「ジウ」シリーズの歌舞伎町封鎖事件を知らないが故の感想なので、

 

いつか最初の作品を読んだ時、感想は変わる気がします。

 

何はともあれ、さすがは誉田作品です。

 

なかなかのグロさと面白さは健在なので、

 

こういうサスペンスが好きな方にはヒットする作品でしょう。

 

 

さて次の作品ですが、

 

せっかく誉田作品を読んだので大好きな姫川シリーズの最新作を読もうかと思います。