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Industrial4.0にかかわる情報を、管理会計の立場から集めてアップしていきます。兎に角書いていくことで、織り重なって繋がり、何かの絵になります様に。

ものづくり経営学―製造業を超える生産思想 (光文社新書 293) 新書 – 2007/3/1

 

一世を風靡したこの本。東大ののづくりの大家たちは、このようにも、主張されております。

  • 日本はインテグラル型を捨てて流行りのモジュラー型に切り替えるべきだといった議論もありますが、これもまた、比較優位の論理も現場の実態も理解しない雰囲気論にすぎません。こうした根拠なき悲観論が広まれば、やがて日本人の平均的な生活水準に悪影響を与えかねず、そうなればこれはもう人災です。 産業構造論は、あくまでも歴史的に形成された現在の日本産業現場の特性をよく見極め、そのうえでそれと適合性の高い、比較優位を得やすい産業に特化するのが基本です。設計の比較優位論から見れば、調整能力の高い現場が多く日本に偏在するという現実認識があり、それと適合的な調整集約型すなわち擦り合わせ型の製品が国内に多く残ることが貿易の利益につながると考えるのが妥当です。

 

しかしながら、ものづくりの経営学の書評には、下記のような方がおられます。

  • もう「モジュール型/インテグラル型」というたわごとは、やめにしないか? この理論では日本の機能性化学品が強い理由を説明出来ない。組立産業しか説明出来ない。 たまたま、組立産業において職人芸を必要とされる分野が「すり合わせ」だっただけである。組立産業以外では、職人芸は必ずしも「すり合わせ」では無い。 正解は「職人芸型」「標準化型」だろう。日本企業は「標準化」という武器の使い方が下手なのだ。
  • 最近改めてこの本を読んだのだが、いまから振り返ってみると、日本の製造業の進路に決定的な影響を与えた本かもしれない。デジタル化を引き金にした標準化・モジュラー化の時代がまさに始まろうとしていた時に、日本企業をそれと逆行する世界に導いてしまったのではないだろうか。その結果、摺り合わせという名のもとに、高コスト構造、過剰品質、スローな開発スピードが定着してしまい、日本の製造業の競争力を著しく低下させてしまったのではないだろうか。

唯一残された優位性のある自動車産業も、EV車が出現し、標準化された新たな世界が繰り広げられ、日本の脱落が危惧されています。東大ものづくり研のすり合わせ理論に拘泥し、Massiveな物体は軽々しくEVへ移行しないとの論調のもと、EVへの転換が遅れたこと、悔やまれてなりません。まさに人災ではないでしょうか?

 

かつての19世紀、米国が部品の標準化により工程改善・コスト削減を強力に進め、生産性の向上を果たしていく時代に、イギリスは「やすり掛け」の互換性のない部品による高級品にこだわり、大きく生産性を損ない、後塵を拝し国力を失っていきました。すり合わせの理論は、まさにそのやすり掛けを彷彿とするものであります。

 

ものづくり研究所の見解では、標準化のコスト節減をどのように説明するのでしょうか。汎用品として作成される標準化部品も、キャッシュフローを阻害する無駄な在庫でとされ節減が求められるでしょうか。リードタイム短縮の指標であるNet Convetion Time Ratioが工場の実力目標値として、目指されるのでしょうか。

 

標準化の本質はそこにはなく、部品共通化による在庫リスクの低減:新聞売り子のσ(阪南大学青木先生の「新聞売り子問題の期待利潤の性質」にある)の低減にあります。原価計算では説明できない、経営工学とSCMによるアプローチが必要と愚生は考えます。こんな当たり前な、頭の悪い私でも理解できることが、なぜ議論されないのでしょうか?本当に不思議であります。

 

日本のモノづくりを救済するために、国費を投じ、最高学府の名称を冠する東大ものづくり研究所であります。その名にもとづくOpinionにはこの国の行く末を揺るがす影響力を持ちます。この窮状から脱する製造業を救うヒントを、どうにか与えてほしい。正しく我々を導いてほしいものであります。